ALUMS OUT AND ABOUTアビ:1992年、大阪府生まれ。大阪・北野高校卒業後、2011年、神戸大学発達科学部入学。卒業後、鉄鋼メーカーに3年間勤めたが退職。動物病院、ギャラリーなどのアルバイトを経て、2021年から動画クリエーターとして独立している。神戸大学で好きな場所は「百年記念館」。そこから見る神戸の街が好きだという。東京都在住。ホームで、動画アカウント「耳で聴く美術館」を発信している。わずか1分弱の短い動画だが、美術に詳しくない人でも、□間時加え、その背景にあるストーリーをわかりやすく紹介している。美注目の展覧会や芸術祭を取り上げ、美術の魅力を凝縮する。 ピアノのBGMが流れる中、優しく落ち着いたaviさんの声は、忙しい日常生活を忘れさせ、アートの世界に誘ってくれる。総フォロワー数は50万人(2025年2月現在)、1動画で最高630万超引っ張りだこだが、ここに至るまでは迷い、悩みの連続だった。 aviさんは、神戸大学発達科学部人間表現学科の出身。美んだ。当初は美術の教諭を目指したこともあったが、教育実習で人前に立つことが苦手だと感じ断念している。ウンセラーの学校に通ったり、迷いながら自分探しを続けた。そ aviさんは、TikTok、Instagram、YouTubeなど多くのプラット間に気軽に楽しめるのが特徴だ。歴史的な名画や現代アートに術作品の購入方法を紹介したり、美術館に行く際の服装(コーデ)を提案したりとユニークな企画も多く、見る人を飽きさせない。の再生を誇り、若い世代の美術愛好家からも支持を集める。 今や多くのフォロワーを抱え、展覧会やイベント関係者からも術史にとどまらず、ファッション文化論、音楽身体表現などを学 学芸員の道も模索したが、関西の鉄鋼メーカーに就職。工場経理を任されたが、自分のやりたいこととのギャップに悩み、3年で退社した。その後は、自分の好きなことを求めて、動物病院やデザイン会社で働いたり、ジムのトレーナーを務めたり、カの中で、美術館でアルバイトした時に、アートの仕事が自分には一番合っていると再認識したという。 aviさんに転機が訪れたのは、長期化するコロナ禍の2021年のことだった。外出がままならず部屋でTikTokを見る機会が増え、「自分でも、できるのではないか」と動画配信の世界に飛び込んだ。 もちろん、すぐには結果が出なかったが、トライ&エラーを繰り返し、今では、動画配信で充実の毎日を送る。月に10本〜15本の動画をアップ。SNSの原稿なども含めれば、多い時で30本の投稿を繰り返す。 これまで迷った時に、どう乗り越えたのだろうか。 苦しかった頃を振り返ったaviさんは「先人の哲学的な書を読み、自分と同じ迷いや悩みを見つけては参考にしていました。また、心理学が好きで、自分が何を悩んでいるのかを心理学の中に探すこともありました」と明かしてくれた。また、自分の気持ちを日記にしたためることで、その時の気持ちに蓋をしないよう努めたこともあったという。 今、特に力を入れているのが、同世代の若いアーティストの情報発信だ。作家の個展を紹介したり、アトリエを訪問したり、無名のアーティストの発掘に懸命だ。将来の夢や目標を聞くと、「自分の動画をきっかけに、若い作家の世界が広がってくれたらと思っています。動画発信を続け、情報をどんどん蓄積していきます。同世代の作家の情報を未来に残し、次世代にも伝えたい」。アートの世界に対する強い思いには、少しの迷いも感じられない。 個人的におすすめする美術館は、兵庫県立美術館(神戸市中央区)。所蔵する具体美術協会・白髪一雄画伯の迫力を、「神戸大学に通う間にぜひ味わってほしい」と話している。耳で聴く美術館avi(アビ)さん (2015年 発達科学部卒)神戸大学を卒業・修了後、さまざまな分野で活躍する先輩を紹介するコーナーの第3弾は、SNSのショート動画でアート全般を紹介する人気の動画クリエーター・avi(アビ)さん(32)に登場してもらった。ここに至るまでの迷いや悩み、神戸大学でのこと、展覧会や美術に対する熱い思いを聞いた。あちこちの卒業生03アートを伝える人気動画クリエーター
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