神戸大学大学院 国際文化学研究科 2024-2025
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18| 神戸大学大学院国際文化学研究科  現代社会では、人間・自然・社会の相互関係が大きく揺らぎ、ますます複雑化してきています。「先端社会論」コースは、この現代杜会の先端的な問題群を、人文・社会科学を交差する学際的アプローチによって、領域横断的に検討することを課題としています。例えば、男女の性差を社会的に構成されたものととらえるジェンダー論の視点から、家族や個人や国家をめぐる考え方の変化を分析すること。貧困、移住、人権侵害、体制転換などのグローバルな課題の公正な解決法を構想すること。メディア・テクノロジーの革新が促進する消費社会の情報化と多文化社会が要請する新たな社会観や人間観を模索すること。「先端社会論」コースは、こうした錯綜する諸問題を理論的に解きほぐし、それらに現実的に対処していくためのトレーニングの場です。所属教員の紹介青山 薫 教授 ジェンダー社会文化論特殊講義ほか専門は社会学、ジェンダーとセクシュアリティ。 グローバル化、多文化主義、社会的排除と包摂、親密権、表象の問題などに関心を持ち、移住、ケア/性労働、同性婚、性同一性「障害」など、公私にわたる変化を引き起こす事象について、理論・方法論・実証研究を結びつけて追求しています。小笠原 博毅 教授 メディア社会文化論特殊講義ほか専門は社会学、カルチュラル・スタディーズ、現代イギリス研究。とくにメディアとスポーツをフィールドとして多文化資本主義と人種差別の文化との関係を、実証的、理論的、かつ思想史的に検証し考察しています。工藤 晴子 准教授 文化規範形成論特殊講義ほか専門は国際社会学、難民・強制移動、クィア移住。人の国際移動とジェンダーやセクシュアリティの関わりについて特に難民・強制移住におけるセクシュアリティの規範という視点から研究しています。また難民支援の実務経験から、支援の暴力性や支援者/被支援者の権力関係という問題にも取り組んでいます。進路実績(前期課程) 兵庫県庁、富士通BSC、(株)三菱倉庫、(株)コベルコシステムなど(後期課程) 花園大学文学部創造表現学科准教授、京大グローバルCOE研究員など在籍学生数(前期課程)(後期課程)論文テーマ例(前期課程)● Representation of Romanies in Tony Gatlif’s Films● <私>のこの眼差しは、誰のものか―パク・チャヌク『お嬢さん』における「男性の視線」の流用をめぐるオートエスノグラフィー● 「脆弱な女性たち」が問い直すネパールにおける女性運動―バディ女性の運動から● 日本型雇用システムにおける差別と抵抗―トランスジェンダーの新卒就職活動に注目して● 在日中国籍技能実習生の階層帰属意識● 「二人っ子政策」における女性の「産む・産まない」自己決定の葛藤―潮州女性の人生の歩みを通して● 近親者へのカミングアウトの有無がセックスワーカーの生活に与える影響● Intersectionality and Employment: Discrimination Against Muslim Women in the Process of Job-Seeking in Japan(後期課程)● 日中における『シャーロックホームズ』の受容● Diffusion of Hip Hop: A Critical Reappraisal of ‘Call and Response’ in the East Asian Street Dance Culture● Rethinking Queer Migrant Experience through the Lens of Drag Performance● 宝塚歌劇における「女同士の絆」桜井 徹 教授 現代法規範論特殊講義ほか専門は法哲学。「グローバル・ジャスティス」、つまり、移民・難民問題、経済格差、テロ、人権侵害といったグローバルな課題を前に、国境という境界線がいかなる意味をもつのかというテーマを研究しています。最近は特に、国際移住が増加する中で、普遍的な人権の保護とナショナリズムとの間の衝突をいかに調整するかという問題に取り組んでいます。西澤 晃彦 教授 現代社会理論特殊講義ほか専門は社会学、都市社会学、社会問題論。社会的排除と貧困を主たるテーマとして、自己アイデンティティの構築・社会的世界の形成・都市空間の構成と社会的排除の関連について研究を行なってきました。 10名 4名グローバル文化専攻・現代文化システム系先端社会論コース

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