神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科
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前期課程におけるアントレプレナーシップ講座の講義科目は、「アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)」「事業戦略(Strategy)」「財務戦略(Finance)」「知財戦略(IP rights)」「プロジェクト演習(Project-Based Learning: PBL)」の五科目で構成されています。一般的なビジネススクール(経営大学院)と異なり、自然科学系学生が、イノベーション(社会的・経済的価値の創造)の実現に必要な知識を、効率的に学べるよう設計されています。 後期課程では、先端科学技術分野(バイオプロダクション、先端膜工学、先端IT、先端医療学及びこれらにまたがる融合分野)における科学技術上のブレークスルーを実現するとともに、具体的なイノベーション・ストラテジーの構築につなげることができる、科学技術アントレプレナーの養成・輩出を目指しています。 15ここで言う科学技術アントレプレナーとは次のような人材を指します。 ❶ベンチャー企業を設立して社会に大きなインパクトを与えながら活躍できる独立企業家(アントレプレナー)❷先端科学技術を活用して既存の企業等において新規事業を起こす企業内企業家(イントレプレナー)❸文理融合・分野融合の視点から科学技術イノベーションに関する研究教育を実践できる研究者・教育者本研究科の後期課程では、科学技術アントレプレナーに必要な三つの能力(先端研究開発能力、機会認識能力、戦略構築能力)を養成するための教育カリキュラムを通して、企業家(アントレプレナー、イントレプレナー)、研究者・教育者など各学生の目指す方向性に沿った教育を、文理融合・分野融合の体制下で行います。 アントレプレナーシップ科目アントレプレナーは、特定の社会課題を解決したいなど、事業を始めるための理念と課題解決のためのイノベーションのアイデアを持っています。イノベーションを創造するために必要な知識と手法を学ぶとともに、「イノベーション・アイデア」を具体的なビジネスプランに仕上げるプロセスを、座学、ケーススタディ、グループワーク、企業家との議論などを通して、実践に近い形で学習します。 【科目名】■スタートアップサイエンス ■ビジネスプランニング事業戦略科目アントレプレナーには、アントレプレナーシップに加えて、事業化に伴うリスクを最小化し、生み出す価値を最大化するための戦略的思考が求められます。イノベーションの実現に必要な戦略理論は、競争戦略、リソース・ベースト・ビュー、イノベーション戦略、マーケティング・マネジメントなど多岐に渡り、進化を続けています。これら理論の概要を、座学、ケーススタディ、グループワークなどを通じて学びます。【科目名】■事業戦略 ■イノベーション戦略財務戦略科目企業財務の基礎、財務計画の立案方法、企業価値評価やディール・ストラクチャー設計などの知識を学習し、さらに具体的な事例や演習を通して理解を深めることで、事業創造における財務面での実践力を習得します。【科目名】■コーポレートファイナンス ■アントレプレナーファイナンス先端研究開発科目(先端研究開発能力の養成)重要な科学技術上の問題を学生自ら発掘して課題設定する能力、その解決のための科学技術上のブレークスルー(発見、発明)を達成する能力、研究成果について学術論文投稿や学会発表を行う能力を養成します。 【科目名】■先端科学技術特定研究科学技術イノベーション科目(機会認識能力の養成)先端科学技術に基づくブレークスルーを活かし、経済的・社会的価値を生む製品やサービスにつなげるアイデアをまとめる能力を養成します。さらに、システム思考やデザイン思考を活用しながら、製品やサービスにつなげるイノベーション・アイデアをまとめる能力を養成します。 【科目名】■科学技術イノベーション研究1■科学技術イノベーション研究2■デザイン思考×システム思考知財戦略科目科学技術上のブレークスルー(発見、発明)をきっかけとして、イノベーションの実現を目指すアントレプレナー(科学技術アントレプレナー)にとって、知財戦略の理解は必須です。特許法や著作権法を始めとする知的財産法制度の全体像を学んだ上で、先端科学技術分野におけるイノベーションの実現に必要不可欠な、知財の戦略的な取得・活用・保護の方法を習得します。加えて、アントレプレナーに求められる事業に必要な法的な基本知識も修得します。【科目名】■法務・知財戦略プロジェクト演習(Project Based Learning:PBL)科目前期課程1年次でグループワークを実施します。本研究科発のバイオベンチャーなど、実在する科学技術系ベンチャー企業を一社取り上げ、同社の技術戦略、知財戦略、事業戦略、財務戦略を詳細に調査・分析します。また、その企業に新規事業として提案できるようなビジネスプランを、座学、グループワークを通して作成し、最後にグループ対抗形式のビジネスプラン発表会を行います。2年次では、各学生が所属研究室で取り組んでいる自然科学系のテーマを使って、どのような新規事業につながるかを分析し、イノベーション・アイデアにまとめます。その過程で、複数の教員が、自然科学、技術戦略、知財戦略、事業戦略、財務戦略等の観点から共同で教育指導を行います。【科目名】■科学技術アントレプレナーシップ・プロジェクト研究科学技術アントレプレナーシップ科目(戦略構築能力の養成)イノベーション・アイデアを製品・サービスにつなげるために必要とされる知財戦略、事業戦略、財務戦略について、各学生の実務経営レベルに合わせた教育を行います。このプロセスを通じて、イノベーション・ストラテジーの構築に関する実践的な能力の養成を行います。さらに、文理融合・分野融合の共同指導体制の下で、経済的・社会的価値の創造につながるイノベーション・アイデアについて検討を深め、科学技術上のブレークスルーを、革新的な製品やサービスにつなげられるような研究開発プロジェクトを推進します。学生は研究成果をイノベーション・ストラテジー研究成果書として取りまとめます。【科目名】■科学技術アントレプレナーシップ演習■科学技術イノベーション戦略プロジェクト研究授業科目の概要博士課程前期課程博士課程後期課程

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