神戸大学法学部では、法学と政治学を学ぶことができます。法学には、現代の日本の法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の「六法」など)を基に、紛争の合理的解決を学ぶ「実定法学」、国際条約や異なる国の個人や企業の間の法的問題を学ぶ「国際法学」、法を社会学・哲学・歴史学などの手法を用いて考える「基礎法学」が主に含まれます。政治学には、国や地方での意思決定の仕組みや動態について学ぶ「政治過程論」、グローバルな課題や国際的な問題に取り組む政治について学ぶ「国際関係論」、望ましい公共の利益とは何かについて考える「政治理論」、現状を生み出してきた過去の実態を探る「政治史」などが含まれます。 法律学は、日本の法体系の基礎にある六法を土台に、知的財産や環境、労働や社会保障など、特定の分野において発生する紛争や、国境をまたいで国家間、或いは会社や個人といった私人間で発生する紛争の解決を目的とする実定法や国際法を学ぶ学問です。国際化の進む現代社会において、国家間の関係性が複雑化し、国際取引が増加し、文化や考え方、価値観の違う人々が様々な関わりを持つ中、個々人の自由を守りつつ、安定した社会を築いていくために「法」はますます重要性を増しています。これからの社会において法律の専門家はますます必要とされますが、法律の専門家でなくとも、法の仕組みや考え方を理解していることがとても重要な意味を持ちます。また法学を学ぶ際には、法律の条文や裁判例を暗記することよりも、その背景にある基本的な権利義務に基づく考え方や、解決されるべき紛争の本質を理解することがとても大事であり、それには基礎法学の勉強が役立ちます。歴史や社会観察が好きだったり、論理的思考が好きなあなたはきっと、法学を面白いと思うでしょう。 世界は今、様々な問題に直面していますが、それらに対処していくためには、多様な人々や集団の価値観や利害をを調整し、望ましい解決策を生み出していくことが求められます。 解決策を考えるためには、望ましい公共の利益とは何か(政治理論)、地方・国単位の意思決定はどの様に行われているのか(行政学・政治過程論)、国家間の協力を可能にする条件は何か(国際関係論)、過去にどの様な外交が行われてきたのか(外交史)などについて知ることが不可欠です。 私たちは授業や研究を通して、国内の格差を解消するのがなぜ難しいのかという問いから、地方自治や選挙制度のあり方、外交や国際機関の役割、そして人間の安全保障というテーマにいたるまで、現代社会の重大な問題を扱っています。 同時に、問題の実態を把握したり、そのメカニズムを明らかにするには、文献や外交資料、事例やデータを精緻に分析してエビデンスに基づく議論をすることが大切です。私たちは、実験手法やビッグデータの活用などの新しいツールも積極的に取り入れています。 現実を批判的に見つめ、創造的にものを考え、対外的に発信する人材を輩出することが教育目標です。22関根由紀 教授松村尚子 教授法学を学ぶ政治学を学ぶ神戸大学法学部で学ぶ
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