3年生からは、各自の進路目標に応じた法学・政治学教育を提供するために設けたコース(司法コース、企業・行政コース、政治・国際コース)を選択してもらいます。各コースの履修科目は、それぞれの進路希望に応じて必要十分なものとなるように配慮しています(【表Ⅱ】)。 【表Ⅱ】 3つのコースの概要 3年生、4年生は、各自の関心に応じて「3・4年次演習(ゼミ)」に参加することができます。ゼミでは、教員の指導を受けながら、仲間とともに、自分の関心のある分野についてより専門的な知識を身につけることができるとともに、説得力のある議論の仕方や論文の書き方も学ぶことができます。 行政法の中でも、いくつかの個別法をテーマとして設定します。毎年テーマは変わりますが、これまでは、個人情報保護、消費者保護、再生可能エネルギーおよび金融行政を扱ってきました。いずれもアクチュアルで実務上重要なテーマです。新たに生起し続ける現代的な問題に、法はどのように立ち向かっているのか。そうした観点からこれら個別法を具体的に学んでこそ、大講義で学ぶ抽象的な理論を真に理解することができます。 当日の授業は、学生による研究報告と、研究報告を受けたディスカッションから構成されます。ただし、当日の授業に先立ち、オンライン上の学習支援システムを用いて、1週間をかけてじっくり議論してもらいます。こうした準備を経ることで、当日の議論が濃密で有意義なものになります。学生たちは、専門的な論文や報告書等を自ら発見して熟読し、それらに基づいて高水準の議論を展開しています。リサーチペーパーを自発的に執筆する意欲的な者もいます。教員の私自身が学生たちから学ぶことも少なくありません。これこそ学問の現場であると日々実感しています。(なお、上の写真は、ゼミ中にゼミ生に撮影してもらいました。) 本学部の3・4年次演習は、通年実施が多いですが、私が担当する演習は前期のみの開講となっています。主に、直前の後期に開講される「政治データ分析」を履修してデータ分析の手法を学び始めた学生に対して、それをさらに勉強する機会を提供したいと考えて開講しています。演習では、教科書を読みながら新しい手法を学ぶとともに、その手法を使って書かれた論文の分析を「再現」することで理解を深めていくことを目指しています。行政学演習という名前なので、国や地方自治体で行っている政策の分析をしたり、何かしらの政策提言を考えたりすると思われるかもしれません。それも重要なのですが、まずは誰かが既に行った分析を再現することを通じて手法を学び、それを基盤に将来自分自身でその手法を応用できるようにして欲しいと思います。私自身も分析手法のエンド・ユーザーで一緒に勉強していくような立場なので、参加する学生のみなさんの関心に応えながら演習を作っていきたいと考えています。55(将来の進路)法曹(法科大学院の既修者コース進学)、法学研究者、企業法務(履修スタイル)基本的な法律科目を中心に履修(将来の進路)(履修スタイル)国家公務員や地方公務員、または企業基本的な法律科目を中心に、基礎法、国際法、政治・国際関係論の科目を幅広く履修(将来の進路)国際公務員、外交官、ジャーナリスト、政治家、企業、NPO、または大学院進学(履修スタイル)政治・国際関係論科目を中心に、法律科目、基礎法、国際法については幅広く履修西上 治 准教授砂原庸介 教授司法コース企業・行政コース政治・国際コース3・4年次演習(行政法演習)3・4年次演習(行政学演習)
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