絶えす変化していくビジネス環境で経営の成否を大きく左右するのは、経営戦略です。しかし、戦略的に決定し、戦略的に行動するとはそもそもどういう事なのでしょうか。リスクにどう対処すべきか、刻々の新しい情報を戦略的行動にどのように反映させるのか、ライバルもまた戦略的に決定しているときに真に合理的戦略とは何か等を学びます。 単に概念的に考えるだけではなく、厳密な数理的モデル分析(ゲーム理論)を通じて、ライバル同士の戦略的相互依存関係を分析するカをつけます。ライバルを出し抜く天オについて語るのではなく、ライバル関係を冷静に分析し、それに応じたベスト戦略を見出す戦略的思考を身につけるということです。 車や化粧品といった「モノ」や、外食や航空輸送といった「サービス」の市場の創造と維持にかかわる企業活動を研究します。トヨタや任天堂等の「メーカー」が、消費者に対してどのような製品を開発し広告するのかといった問題。三菱商事等の「卸売業」が、メーカーと小売店の間で、どのような活動を行っているのかという問題。楽天やiTunes Store等の新しい「小売業」がどうして成長してきたのかという問題。そして最後に、私たち「消費者」の行動の決定要因、こうした問題を研究します。 さまざまな会社が、市場で何をしているのか、そして消費者がそれにどのように反応するのかを理解するのが、この分野の研究課題です。そこには大きく社会システムの立場から研究するアプローチと、個々の会社や消費者を細かく調べる研究があります。前者を勉強すれば、「観光振興が地域経済にもたらすインパクトはどれくらいか」といったことがわかります。後者を勉強すれば、「DXが進展する中で新製品をどのように開発し広告すればよいのか」といったことがわかります。 管理会計は会計数値をはじめとした企業内のデータを企業経営に役立てる仕組みに関する分野です。ここでいう役立て方には大きく分けて2通りあります。ひとつが経営上の判断に役立つデータを集め、加工し、提供することです。企業のデータを従業員の目標や評価指標として活用し、従業員の努力を引き出す(従業員をコントロールする)ことがもう1つの役立て方です。 企業のあらゆるところでデータが活用されます。なので管理会計を理解することは、仕組みを作る側(経営陣)だけでなく、仕組みの下で管理される側(従業員)にとっても重要です。 金融取引及びそれを支える組織(金融機関)や市場(金融市場)の構造について学びます。金融取引は、一般的な商品やサービスの取引と異なり、取引が行われる時点(例えば、お金を貸し出す時点)と取引が完了する時点(お金が返済される時点)が同一ではありません。これにより、金融取引には将来にわたる様々な不確実性やリスクが伴います。つまり、金融取引が円滑に行われるためには、取引参加者が直面する多様なニーズやリスクを、社会全体で効果的に管理する必要があるのです。 この講義では、既存の金融機関や金融市場がどのような役割や機能を果たし、上記の課題にどう対応しているのか、なぜ金融危機やパブルが発生するのか、規制当局や中央銀行が担う役割はどうあるべきかについて、実務と理論の両方から詳しく説明します。さらに、最近注目されている「金融のデジタル化」や「持続可能な社会と金融」といったトピックについても、金融機能の本質と技術との関連性から深く掘り下げて説明を加えます。9
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