素粒子宇宙理論:時空と物質の起源と進化の研究担当教員:早田次郎、神野隆介、伊藤飛鳥 素粒子宇宙理論は、素粒子実験と宇宙観測をもとに、時空と物質の起源、そしてその進化を研究する学問です。加速器実験や電磁波、宇宙線、重力波などの観測によって、標準理論を超える素粒子理論や宇宙誕生後から現在までの宇宙の姿が解明できるようになってきています。ミクロの世界とマクロの世界の双方向研究で、暗黒エネルギーや暗黒物質の謎を含む素粒子究極理論を解明することや新たな宇宙像を描くことが、我々の主な研究テーマです。物性理論:超伝導や相転移など物質が示す性質の理論的研究担当教員:久保木一浩、西野友年 物性物理は原子や分子が集まった固体や液体など、凝縮系の性質を研究対象にしています。このような多体系に潜む特有の物理法則を理論的に解明して行くことが物性理論の目標です。 高温超伝導体はその高い臨界温度から将来的な応用が期待されるだけでなく、磁性との共存などさまざまな興味深い物性を示します。他方、物質の表面など低次元格子系では幾つもの異なる状態が実現し、その間の移り変わり(相転移)には物質の特徴を越えた普遍性を見いだせます。私達はこれらの現象を、場の理論や量子情報理論などの解析的手法と、テンソルネットワークなど最先端の数値計算を組み合わせて研究しています。高エネルギー初期宇宙において一次相転移が進行する様子。このプロセスが物質と反物質の非対称性や重力波を生み出した可能性がある。 粒子よりも質量の大きな素粒子が存在するはずとの間接的証拠が数多くあります。本講座では、これらの粒子の発見を目指して様々な実験を行っています。その一つは世界最高エネルギーで陽子を衝突させるLHC (スイス・CERN 研究所) を用いたアトラス実験です。2012年にはこの加速器でヒッグス粒子が発見されました。現在より高いエネルギーの衝突で実験を行うとともに、より稀な事象の探索のための高頻度衝突実験に向けて、実験装置のアップグレードを行っています。 レプトンの一種であるニュートリノ(ν)は、素粒子の標準模型で説明できない未解明の性質を持っており、宇宙創成の鍵である可能性もあります。我々はν研究の最先端であるスーパーカミオカンデ(SK)実験、T2K実験(茨城県東海村のJ-PARCで人工的に生成したνをSKで検出)、さらに2027年からの観測開始を目指して現在建設中の次世代超大型水チェレンコフ装置実験ハイパーカミオカンデ(HK)に参加しています。また、宇宙暗黒物質(ダークマター)の直接探索にも取り組んでおり、大質量の液体キセノンを用いるXENON実験、方向に感度のある検出器を用いるNEWAGE実験を推進しています。ダークマターは未発見の素粒子である可能性が高く、現在世界で活発に研究が行われています。SK・HK実験、暗黒物質探索実験は、自然に存在する宇宙線による影響を排除するため、地下に設置された実験サイトで行われています。LHCでの国際共同実験ATLASに完成した前方ミューオン検出器HK検出器の概念図。有効体積はSK検出器の約10倍。(c) Hyper-Kamiokande Collaboration担当教員: 藏重久弥、竹内康雄、山﨑祐司、身内賢太朗、前田順平、 物質を構成する基本粒子(素粒子)はどのようなもので、その間にはどのような力がはたらいているのでしょうか。我々は巨大な粒子加速器、宇宙線などを用いた様々な実験で、この基本的な問題に取り組んでいます。最近の精密な加速器を用いた実験や宇宙観測の結果から、我々が知っているクォークやレプトンなどの理論物理学講座粒子物理学講座鈴木 州研究内容
元のページ ../index.html#17