神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2024
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 私は、他大学の工学系の化学の学科から理学部化学科に編入学しました。 理学部化学科を選んだ理由は、自分の興味・関心が強い物理化学分野の講義や研究室が多数あり、それらについて深く学ぶことができると感じたからです。 理学部化学科に在籍している教員の専門分野は多岐にわたるため、物理化学に限らず、多くの分野について学ぶことができます。 特に、学部の段階から最新の研究分野を扱う講義や、より専門的な講義が開講されている点は大きな魅力です。 学部四年次の研究室配属では、分子の性質を光で探る「分子分光学」という分野に興味を持ち、物理化学講座の分子動力学分野の研究室を希望しました。 この研究室では、レーザーを使って分子の構造やダイナミクスを研究しています。 実験におけるレーザー等の機器の扱いや、観測したデータの解析は簡単ではありませんが、指導教員を含めた多くの方々のサポートがあり、研究を進めることができる最高の環境に身を置くことができています。 学会や外部の研究者との共同セミナーに参加することも多々あります。 そこでは、自分が所属する研究室や大学の枠を超えて自分の研究テーマに関連する分野以外の研究発表や研究成果についての意見交換を通して、新しい発想やアプローチを得る貴重な機会となります。 皆さんも、化学科にある数多くの分野から何か興味を持った分野を見つけて、化学の面白さを味わっていただければ幸いです。砂漠を緑の大地に変える可能性を持つ吸水ポリマー、クリーンで高効率な近未来の発電装置である燃料電池、未来の宇宙旅行の際、大気圏突入時の高温から我々を守ってくれる耐熱材など、化学が創り出す様々な物質や新しい原理が、このような私たちの未来テクノロジーを支えます。最近急速に発展しているバイオテクノロジーやエレクトロニクスなどの分野でも化学の役割の重要性が高まっています。多くの卒業生が民間企業や公的機関のこのような技術系分野で活躍しています。また、複雑化する特許申請業務や未来の世代の教育など、直接テクノロジーの開発などから離れた分野においても、幅広い化学の知識と事象を的確に捉える目をもった人材が必要とされています。学生居室の様子 高校の化学の先生の授業がわかりやすかったので、がんばって勉強できると思い、大学で化学を学ぼうと思いました。そんなとき立ちはだかるのが、理学部か工学部のどちらにするのか? という問題です。理学は現象の原理・原則を解明する、工学は社会に役立てる方法を考える、という違いがあるそうです。私は、ものごとの根本を知りたいと思い、理学部に決めました。理学グローバルチャレンジプログラムUPLBコースにて  大学で学ぶまでは、化学は新しい物質を合成するものだと思っていました。しかし、先輩の卒業研究発表を聞いたことをきっかけに、物質を合成した後には、目的の物質ができているか、どんな性質かを調べるために正確な測定をする必要があるのだと気づきました。原理や特徴を知らずに測定してしまったら、物質の評価を正確にできないと思い、測定に興味を持つようになりました。 所属している研究室では、植物や藻類などの光合成をする生物に光を当てたときに、何色の光を吸収するか、何色の光を出すかを測定することで、光合成の仕組みを調べています。私は測定装置とデータの解析方法の開発を行ってきました。うまくいかないときもありますが、先生と相談しながら原因と改善案を考え続けます。自分のアイデアを試してうまくいくようになると、とてもうれしいです。 化学科で化学を学んで行くにつれて、自分の興味が明確になっていきました。現在は興味のある測定について学ぶことができています。ここでなら皆さんのやりたいこともできると思います。ぜひ、化学科に来てください。もちろん化学と言っても様々な領域があり、しかも、絶えず進化しています。従って、高校までで習うことと直接関係づけられない面も多々あります。しかし、いずれの教育研究も、その根底では、人類の生活をより良くするために新しい物質、新しい化学現象や化学原理を探し求めて進められていると言うことでは、違いはありません。物質の開発や化学原理の解明などを通して社会の発展に貢献したいと言う気持ちがあれば、十分やっていけます。ただ、自分がどのような教育研究の内容に興味があるのかを前もって良く見つめておくことは、必要だと思います。本学科のより詳細な教育研究の内容については、ホームページで見ることが出来ます。また、その中にあるメールリストを使って各教員から直接説明を受けることも可能です。研究室の実験風景化学科・化学専攻化学科で学んだことは社会でどのように役立ちますか?ホームページhttp://www.chem.sci.kobe-u.ac.jp/化学に興味があるのですが、化学科の教育研究分野を見ると、高校までで学んだ化学の知識では想像できない名前が付いているものもあります。高校までのイメージで化学を選んでも大学の化学をやっていけるでしょうか?清水 陽(2019年度学部卒業)現在 博士後期課程3年古谷 実佑(2023年度修士課程修了)現在 電気・電子系の会社に勤務

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