神戸大学 大学院工学研究科・工学部 2024
24/40

22機械工学科の基本教育方針は、経験に裏打ちされた揺るぎない基礎知識の上に、独創性、応用力、柔軟性を合わせもつ機械工学技術者、研究者を養成することにあります。このため専門基礎科目や専門科目の講義に加え、それらを効果的に補完するために充実した実習・実験・演習を組み入れた特徴的なカリキュラムとなっています。具体的には、まず入学初年次には初年次セミナーや機械工学の面白さを身近に感じられる機械工学基礎などの導入教育から始まり、年次進行に応じて機械工学の基礎から応用、実践へとつながるように専門共通科目が段階的に用意されています。これと平行して2年次からは、“熱・流体”、“材料物理”、“制御”、“設計・生産”といった機械工学の代表的な専門科目についても系統的に配当され、4年次私は2020年3月に博士課程前期課程を修了しました。大学院在学時は機能ロボット学研究室に所属し、油圧駆動ロボットの制御に関する研究を行っていました。また、学部生の頃にはレスキューロボットコンテストチームに所属し、機構設計や製作を行っていました。大学生活を通して感じてきたのはものづくりの楽しさと自分にできることが増える喜びです。ロボットを設計する、材料から部品を加工し組み立て形にする、動かすためのプログラムを組む、といった一連の工程には様々な分野の知識が必要です。また、知識だけでなく実際に経験して初めて理解することもあります。時には試行錯誤的な作業になることもありますがその試行錯誤も楽しいですし、思い通りに動くロボットを完成させた時には何ものにも代えがたい嬉しさを感じます。この嬉しさはロボットに限らずすべてのものづくりに関わる人が感じるものなのではないかと思います。前期課程に進学しており、全国的にも高い進学率を示しています。同博士課程前期課程修了者の1割程度は博士課程後期課程に進学して独創的な研究を行っています。博士課程後期課程修了者は、大学、研究機関、民間企業等で教育、研究、開発、生産など多岐にわたる分野で、その分野での指導的立場として活躍しています。海外からは多くの留学生を受け入れており、卒業・修了後は学部・大学院で得た基礎および専門知識をもとに母国の産業発展に大きく貢献しています。(主な就職先は、次ページの機械工学専攻紹介の頁をご覧ください。)での研究室配属と卒業研究につながるように配慮されています。またこれら専門科目の講義を補完する機械工学実習、機械製図、機械工学実験、プログラミング演習などの充実した実験・演習系科目が配当されており、これらが当学科での教育の両輪を成しています。また当学科は、「ものづくり」に関わる学生のサークル活動にも積極的な支援を行っています。機械製図機械製図機械創造設計プロジェクトⅠ機械創造設計プロジェクトⅠ機械工学実習機械工学実習機械創造設計プロジェクトⅡ機械創造設計プロジェクトⅡ第16回レスキューロボットコンテストにて私は(株)クボタで汎用コンバインの設計・開発をしています。汎用コンバインは稲・麦・大豆など様々な作物の収穫を行い、世界中の「食」を支える機械です。近年は自動運転の開発も進めており、私が開発に携わったWRH1200はドラマ「下町ロケット」にも登場し好評を得ました。より良い機械をつくるために奮闘を続ける毎日の中で、やはり大学で得た知識や考え方は大きな財産となっています。そんな私ですが高校時代には「やりたいこと」が特になく、神戸ってオシャレで楽しそう、物理の力学は割と好き、といった程度の理由で大学を選びました。しかし、入学後は目の前の勉強や研究に精一杯向き合い続けた自負はあります。そのために必要な情報と環境は大学が十分に与えてくれました。そして、その日々の積み重ねが今に繋がっています。私と同じように「やりたいこと」が曖昧な人もいると思いますが、神戸大学の機械工学科に進む理由が何かひとつでもあればそれで十分だと私は思います。大事なのはそこで何をするか。神戸大学の機械工学科で様々な経験を積んだみなさんが私たちと一緒に社会で活躍してくれる日を楽しみにしています。開発したコンバインWRH1200と一緒に在学生・卒業生からのメッセージ卒業/修了後の進路情報化が進んだ現代でも、機械工学は産業の基盤的工学として重視され、重工業、電機、自動車関連企業はもちろんのこと、情報・通信、電力、素材、建設、食品などあらゆる産業分野において、研究、開発、設計、生産、維持・管理のための有能な機械技術者が求められており、機械工学科および機械工学専攻には毎年数多くの企業から求人の依頼があります。このような企業に就職した卒業生、修了生は、時代を牽引していく中心的な人材として活躍しています。学部卒業者の7割超が、より高度な研究・教育を希望して大学院工学研究科博士課程竹内 優佳子(2018年卒業、2020年博士課程前期課程修了)学科カリキュラム田代 元(2012 年卒業、2014年博士課程前期課程修了)機械工学科Mechanical EngineeringMessage

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る