神戸大学大学院 国際文化学研究科 2025-2026
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Invitation日本語サブコース・海外留学研究・教育サポート研究科への招待Coursesコース紹介はもちろん他コースの先生方や学生とも交流する場面が多々あり、相互に学問的知見を深めなりました。そして、東南アジア島嶼部、また国民統合がご専門である貞好康志先生のご指導を仰ぎたいと思い、本研究科を志望するに至りました。本コースでは、異なる専門分野の先生から自身の研究に対して多くのサポートを頂けます。専門や研究手法を超えた多角的な視点からのアドバイスは、自分自身の研究に新たな視点をもたらしたり、批判的な思考につながったりします。また、研究室の仲間と議論したり、読書会を開催したりすることで、常に新しい刺激を得ることができます。このようにアジア・太平洋文化論コースは、自分自身の研究をとことん突き詰めることができる環境が整っています。私が本コースで得た多くの知識や経験は、学問だけにとどまらず今後の自身の人生において、間違いなく糧になるものであると強く感じています。皆さんとアジア・太平洋文化論コースで一緒に研究できる日を心待ちにしています!する難しさを突破する力がなく、大学院へ進学することにしました。アジア・太平洋文化論コースを選んだのは、当時、オーストラリアのアボリジニを専門にされている窪田幸子先生が在籍していたためです。博士課程の前期と後期を合わせて、私は計8年間神戸大学に在籍しました。そのうち、前期課程で3ヶ月ほど、後期課程では2年ほどのフィールドワークを断続的におこなっています。その間、窪田先生はもちろん、途中で指導教員となってくださった貞好先生をはじめ、コースの先生方の愛と熱のこもった指導に大変お世話になりました。文化人類学を専門としている立場から、隣の文化人類学コースにも頻繁に出入りしました。自分のしたい研究をしたいようにさせてくれる。大学院での研究は、主体性が特に重視されますが、本コースでは、そうした自由な学びの過程を認めてくださいましたし、学問的にも積極的にサポートしてくださる先生方や仲間たちに恵まれました。研究って楽しい。一方で、大学院進学は、自身の重要なキャリア選択の一つだと私は思っています。「趣味」とも言われそうなものに人生の重要な時間を賭すのにはしばしば勇気と覚悟が求められますが、ぜひ自信を持って、興味と知識を深められる大学院生私は学部生時代には多文化共生をテーマに勉強しており、大学3年生の頃にはシンガポールにある南洋理工大学に約1年間交換留学をしました。シンガポールを選んだのは、「多民族国家かつ経済の中心地であるシンガポールとはどんなところだろう?」と単純に興味が湧いたからでした。実際にシンガポールで生活してみると、民族的に多様で、歴史も浅く、資源も土地も少ないシンガポールがいかに国家として一つにまとまり、繁栄してきたのかに大きな関心を持つようになり、「シンガポールの社会統合」というテーマについて研究したいと思うように文化人類学という学問を知ったのは、中学生の時でした。当時ハマっていた児童文学作家が文化人類学者で、オーストラリアの先住民であるアボリジニを研究していると知ったことが、この道を選ぶことにした最初のきっかけです。学部は富山大学に進学し、文化人類学の基本とされるフィールドワークを3年間、実践的にみっちり学びました。その時からニュージーランドの先住民であるマオリについての研究をしたいと思っていました。調査にも行ったのですが、言語の違いによる壁と、大きな文化の違いを言葉にります。まず、サモア生活への深い後悔です。青年海外協力隊の任期を終えて日本に帰国してから、サモアで過ごした時間を振り返るうちに、「自分は自分の見たいように彼らのことを眼差して何か大きな誤解をしていたのではないか」という、うしろめたさのようなものが徐々に発酵してきたのでした。そして彼らのことを「わかりなおす」ことに向き合いたいと思うようになりました。もうひとつは、自身のキャリア形成の文脈です。大学卒業してから教育に軸足を置いて活動するうちに現在専攻している人類学と出会い、そこに教育との重なりを感じ、興味がどんどん増幅してきたのです。これら2本の線が交わり、大学院進学を決意しました。アジア・太平洋文化論コースを選択した最大の理由は、なんといっても多様な専門をもつ先生方や学生がいる研究環境です。自身の専門以外の視点から意見をいただいたり、議論をしたりすることを通じて、多面的に学べる日常的な環境があることに惹かれました。そしてその選択は、間違っていませんでした。進学後は、指導教員との定期的な面談指導をベースに、講義や演習、研究会や読書会などにも参加しながら研究に励んでいます。これらの機会を通じて、本コース合っています(もちろん、他愛のない話をして親交も深め合っています)。このようにして出会った共に学び合うことのできる仲間の存在は非常に心強く、しばしば孤独や前途多難さに挫けそうになる研究へと向かう、大きな支えとなっています。専門分野に囚われず、多様な視点を取り込みながら研究活動を深め、邁進できる環境がアジア・太平洋コースにはあります。私は五十代で博士後期課程に入学しました。博士後期課程入学以前には、故郷の湖南省を離れてから日本やアメリカを遊学し、非常勤講師でフリーの著述家として、研究・教育・日中バイリンガルの翻訳や創作と、二足のわらじならぬ三足のわらじで、経済的に安定した基盤は確保されないものの、自由気ままに過ごしてきました。何故、今さら博士号の取得を目指したか? アカデミズムの学者気取りのつもりは毛頭なく、キャリア・アップに結びつくことも期待していたわけでもありませんでした。その一因は、博士後期課程入学前、谷川教授から勧められたマックス・ウェーバーの『職業としての学問』の一文にありました。そこには、専門分野において「後々まで残る仕事を成し遂げ」るならば、「生涯に一度だけ、二度と味わうことのできない深い喜び」が得られるだろうと記されていました。この言葉が私の背中を押してくれました。博士論文では、亡命により国家や民族という枠組みを超えることを余儀なくされた知識人が、各自のを越境させ、文化を国際化させるアクターとなっていることに着眼し、激動の歴史に翻弄されながら真理の追究のために学問や言論の自由を求めて苦闘する亡命知識人の普遍的な存在意義を導出することを目指しました。どこに行くときも文献とパソコンを入れた数キロのリュックを背負い、幾つもの資料を精読し、世界各地にしている証言者に資料の内容を確認し、授業の合間、朝から晩まで細切れの時間に博論を書きました。本学では異なる研究領域の諸先生から学際的で柔軟なアドバイスをいただくことができました。本コースでは、教授陣からの強力なサポートを得たのみならず、院生研究室において留学生や日本人学生の「学弟」、「学妹」との楽しい雑談により、生活や研究の苦楽を分かち合うこともできました。無論、学問、そしてそれに基づく実践は、博士論文の提出で「修了」となるものではありません。これまでの研究の検証、それを行う自分自身をも省察し、さらなる知見の創出に努めたいと考えています。人があまり通っていない茨の道を歩いて行くのは案外おもしろいかもしません。サモア独立国という島国のバスにおいて営まれている人びとの相互行為を、他者への敬意、親密性、身体性といった観点から深く理解することが、私の研究テーマです。私は青年海外協力隊としてサモアに滞在し、帰国後は教育、地域づくり等の事業に携わったのち、本コースに入学しました。大学院での研究を志した理由は2つあGraduate School of Intercultural Studies | 9 活を楽しんでください。留学生や社会人入学の院生もいますか ?本コースでは日本人と留学生の両方がいつも多数在学しており、年度によっては、社会人入学・長期履修生の院生もいます。Asia-Pacific Culture Studies所属学生からのメッセージ林 万葉さん(博士前期課程 2 年)関西学院大学社会学部卒業研究テーマ:「シンガポールの『多人種主義』のゆらぎ―華人系シンガポール人と中国系新移民との関係を事例に」修了学生からのメッセージ土井 冬樹さん(2021 年度博士課程後期課程修了)神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程前期課程修了研究テーマ:「ニュージーランドの先住民マオリと芸能」現在、 天理大学国際学部講師根岸 浩章さん(博士前期課程 2 年)2025 年度は 1 年間休学してフィールドワークを実施中研究テーマ:「サモア首長制社会のバスにおける親密性の表出に関する人類学的研究 ―… 敬意をめぐる民俗概念と身体性の視点から」劉 燕さん(2022 年度博士課程後期課程修了)大阪市立大学(現大阪公立大学)博士課程前期課程修了関西大学博士課程前期課程修了研究テーマ:「中国亡命知識人のライフ・ヒストリーとヒストリーの交差―外と内,境界・周辺―」現在、 神戸大学などで非常勤講師、 著述家Q&A

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