神戸大学大学院 国際文化学研究科 2025-2026
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所属し、政治、文化政策、哲学など幅広い分野の授業に加え、フランス語の語学授業も受講しました。キャンパスは駅の目の前にあり、私は大学内の寮で生活しました。寮の部屋は必要最低限の設備しかなく狭い空間でしたが、図書館やカフェテリア、広々とした芝生などの施設が充実しており、勉強やリラックスの場としてよく利用しました。周囲の留学生の多くは、すでに高いフランス語能力を持つエラスムスの学生で、日本人はほとんどいませんでした。渡航後直後から大学の手続きを進める必要がある中で、言語の壁に直面し、困難や不安を感じることもありました。そんな中、大学の「バディ制度」で出会ったナンテール大学の学生や、留学生・寮の友人たちの存在が大きな支えとなり、次第に状況に慣れていきました。留学中、私は「フランスと欧州評議会の言語・教育政策」をテーマに修士研究を進めることができました。指導教員の手厚いサポートに加え、オンラインゼミで院生からも貴重なアドバイスをもらい、リモートでのフィードバックを受けながら現地での経験を研究に活かすことができました。留学を通じて、言語や文化を学ぶだけでなく、自分の意見を必要に応じて主張する大切さ、人に頼ることの重要性、異文化の中で柔軟に対応する力を学ぶことができました。私はヨーロッパに足を踏み入れるのは初めてで、国籍や宗教の異なる多様な人々と暮らすのも初めての経験でした。パリの街並みや歴史的な建築、カフェのにぎわい、地下鉄の音やにおい、ストリートミュージシャンの演奏、すべてが新鮮で刺激的でした。日々、新たな発見と挑戦があり、かけがえのない貴重な体験になりました。い専攻が英語で学べる点が大きな魅力でした。留学中は現地の正規生として学ぶため、日本での研究に割く時間はほとんどありませんでした。学生数が多いため、講義中心の学習スタイルは学部時代に近く、期末にレポートや試験を行う形式でした。特徴的だったのは、修了単位としてインターンシップが必須だったことです。文化産業の現場に触れるのははじめてで、とてもいい経験になりました。生活面では、行政手続きも英語で対応でき、大学にはスクールドクターもいるため、不便を感じることはありませんでした。ルーヴェンは安全な街で、晴れた日には人々が公園でくつろぐ光景が印象的でした。ベルギーという国にこだわりなく決めた留学先でしたが、今では大好きな国となりました。このプログラムに参加して最も良かったと感じるのは、どの国の人でも私たちはみな同じような人間なのだ、と言葉以上に経験を通して確信できたことです。国や文化の違いが本質的なもののように語られることが多い昨今ですが、実際には、同じ修了を目指して努力し、キャリアに悩む私たちに大きな違いはありませんでした。忙しいプログラムではありますが、それ以上の価値がある経験でした。ぜひ前向きに挑戦してみてください!私は大学院 1 年の 9 月から 1 年間、フランスのパリ・ナンテール大学に交換留学しました。ナンテール大学は、多様な学生が集まるリベラルな校風が特徴で、1968 年の五月革命の発端となった大学としても知られています。私は政治学部にコロナ禍を取り戻すような濃い大学院生活を送りたいと思い、ダブル・ディグリー・プログラムに参加しました。私にとってルーヴェン大学はカルチュラル・スタディーズという珍し国際文化学研究科では、海外の多くの大学と学術交流協定ならびに学生交流実施細則を締結し、全学協定校を含めた世界各地の協定校と交換留学や教職員交流を行っています。大学院での留学にあたっては、指導教員、研究科国際交流委員会、そして各地域に詳しい教員からなる国際交流アドバイザリー・グループが連携して助言やサポートをします。本研究科独自の取り組みとして、博士前期課程在籍者を対象としたダブルディグリー・プログラム、博士後期課程在籍者を対象としたグローバル・ネットワーク・プログラム(GNP)があります。協定による留学は、私費留学とは異なり、以下のようなメリットがあります。(1)授業料 : 留学先大学の授業料が免除されます(ただし、神戸大学に規(2)単位互換 : 留学先で取得した授業の単位について、審査を経て、本研(3)修業年限 : 留学中も神戸大学に在籍中と見なされるので、前期課程の(1)の留学先の授業料免除は、当該国の大学制度や物価によりさまざまで、大きなメリットになる場合とならない場合がありますが、一般に欧米の大学は留学生から高額の授業料を徴収しており、授業料が免除されることは大きなメリットといえます。(2)及び(3)は協定による留学ならではの利点です。奨学金は日本学生支援機構、神戸大学独自の渡航費と滞在費の一部を補助する奨学金があります。派遣学生の選考は、次の4点を基準に国際交流委員会が筆記試験及び面接で行っています。(1)研究目的・計画(2)言語能力(3)適性(4)文化交流。なお、英語圏に留学する場合は要求されている TOEFL 又は IELTS のスコアをクリアしなければなりません。博士前期課程在籍者対象本プログラムは、本研究科の博士前期課程に在籍する者が、DD プログラムの協定校大学院に最低 1 年間留学し、所定の単位を修得したうえで修士論文を提出することで、最短 2 年間で本研究科及び協定校大学院の双方で修士の学位を取得できるものです。授業料等については神戸大学に支払うだけで、協定校大学院では免除されます。複数の修士の学位を取得することは、修めた専門性の高さを示すものとしてとくに海外で評価されることが期待できます。■派遣大学ナポリ東洋大学(イタリア)、パリ・シテ大学、ルーヴェン大学(ベルギー)、ハンブルク大学(ドイツ)、フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)■派遣人数各大学 1 ~ 2 名■出願資格(1)国際文化学研究科博士課程前期課程に所属していること(2)派遣大学の語学要件等を満たしていること(3)指導教員より推薦を受けられる者■派遣学生の選考は、次の3 点を基準に書類および面接で行います。(1)研究計画、(2)語学力、(3)適性■派遣学生の研究テーマ:「EU の社会的通商政策の形成過程」、「ヨーロッパの高等教育改革と各国のマイノリティへの対応」など。定の授業料を支払わなければなりません)。究科の単位として認定されうる制度があります。場合は 1 年間(または半年)の留学期間を含めて最短 2 年で、後期課程の場合は最短 3 年で修了することができます。向井 梨紗さん(博士課程前期課程…国際関係・比較政治論コース 2024 年度修了)研究テーマ:「フランスの言語・言語教育政策における欧州評議会の影響―単一言語主義から複言語主義への転換に関する政策過程の実証分析―」白石 江里香さん(博士課程前期課程…モダニティ論コース…2 年)研究テーマ:「橋川文三の政治思想について」【DD プログラム】ルーヴェン大学… 人文学研究科…カルチュラル・スタディーズIntersecting…Gender,…Technology,…and…Cultural…Hierarchies:…A…Critical…Study…of…Ghost…in…the…shell…and…InnocenceStudy-ABROAD38 | 神戸大学大学院国際文化学研究科ダブルディグリー・プログラム(DD プログラム)Double Degree Program海外留学

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