潜在的な能力を引き出すために伝統の三大学対抗ゼミ活動は学外へも広がって 3年生からは,希望する教授の下で研究指導(ゼミ)が始まり,専門書の輪読や共同研究などを行います。さらに4年生の1年間は,自らが選んだテーマについて個別研究発表を行い,卒業論文を作成します。経済学部では,定員を少人数(1学年10 名程度)に限定し,きめ細やかな指導と学生同士の討論によって,専門的知識やプレゼンテーションのスキルを養っています。また,ゼミの合宿や旅行,懇親会などを通じて,教授と学生という枠を超えた社会人同士の付き合いも可能になります。教授や先輩,後輩,OB・OG などゼミを通じた出会いは,学生生活を一層充実させてくれる貴重なものとなるでしょう。 ゼミの研究成果を発表する場として,「三大学対抗ゼミ(三商大ゼミ)」が毎年行われています。これは旧制商科大学を前身とする神戸大学・一橋大学・大阪市立大学(現・大阪公立大)の「旧三商大」で行われる伝統の研究発表会で,各ゼミが共通のテーマに沿った研究を披露し,討論します。指導教員の助言を受けながら,自身で研究成果を得た時に得られる達成感と充実感は,ゼミならではのものです。また討論は,各ゼミがお互いに負けまいとする非常に白熱したものになります。真剣に議論した経験や,大学を越えた学生同士の出会いは良い刺激となり,成長の糧となることでしょう。 経済学部では 2018 年より地域連携事業として「加点式健診事業(通称・よいとこ健診)」を実施しています。加点式健診事業は,本学医学部や他大学との文理共創型の実践研究事業です。健診は受診者の生活習慣や社会活動に対して,医学的なエビデンスに基づく「よいところ」を見つけ,それらを「褒める」ことで,健康行動や生活習慣の維持,改善を目的とするものです。また,その実施主体は,医療専門職ではなく「誰でも実施可能」であるように設計されており,学生でもその担い手になれることが特徴です。 本事業は 2018 年に姫路市夢前町で開始され,2025 年 3 月には神戸市灘区でも実施いたしました。これまでに 14 回,のべ 400 名以上の受診者を集めました。また,これまで100 名以上の学生が参加しています。過去の開催状況や開催の様子につきましては,「よいとこ健診」で web 検索していただくか,QR コードより web サイトをご確認ください。 参加学生は事前に対象となる地域のフィールドワークを行い,受診者との面談を通して住民の生活の現状を学びます。こうした一連の活動の中で,学生は地域の健康に対する社会課題のアクションを行い,世代を超えたコミュニケーション能力を磨くことができます。また,地域の実情と声を目の当たりにし,社会課題の解決に向けた研究課題の発見や,新たなアクションのきっかけを得ることができます。 このような経済学をベースにしながら,学問横断的な視野を持ちながら,地域で学び,実践する取り組みを経済学部では実施しております。■ 優秀卒業論文賞(白木賞)受賞者とそのテーマ(過去2年間・太字は最優秀賞受賞者)2024 年度川西 真由(中村ゼミ) 事業多角化が収益性および資本構成に与える影響-マネジメント・アプローチによるセグメント情報を利用した実証分析-藤本 空(岩壷ゼミ) 企業業績と株主価値からみる ESG 連動型役員報酬の経済的効果安曇 万夏(衣笠ゼミ) フードバンクの食品取扱量に関する質的量的研究-代表者への聞き取り調査と計量分析に基づいて-石原 凛平(橋野ゼミ) 軍隊が地域社会の発展に与えた影響に関する経済史的考察-陸軍と軍都姫路を中心として-2023 年度西山 慧(小林ゼミ)片野 瑠莉(茂木ゼミ) 財務パフォーマンスが ESG スコアに与える効果―トービット・モデルによる日本企業の分析―岸 康佑(畳谷ゼミ) 二次的著作物から生じる外部性の効果―オリジナルのコンテンツを作る企業への影響―相田 賢真(宮尾ゼミ) 日本の為替介入の実証分析―歴代財務官別にみる為替介入の有効性と政策運営の差異―優秀卒業論文賞受賞論文は,神戸大学大学院経済学研究科・経済学部ウェブサイト上で閲覧することができます。URL: https://www.econ.kobe-u.ac.jp/shiraki-prize/関西における電力網ネットワークのカスケード故障分析個性を生かす少人数教育
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