Faculty of Economics経済学部ゼミ活動の集大成:卒業論文少人数ゼミで深めた学び岩壷 健太郎ゼミファイナンス川西 真由中村 ゼミ所属橋野 知子ゼミ近現代日本経済史 多くの大学で卒業論文が課されなくなっている中,神戸大学経済学部は,卒業論文を2年間の研究指導の集大成として非常に重視しています。これは経済のグローバル化が進み,国際的に通じる論理を持って自己の考えを主張することが求められている今こそ,高度な調査,分析,論理構築を必要とする卒業論文の作成が重要な訓練になると考えるからです。2024 年度最優秀論文者と指導教員ゼミ活動の成果 ゼミは,受け身になりがちな講義とは異なり,発表や議論を通じて自分の知識や意見を磨く場です。また,将来にわたって付き合うことができるかけがえのない仲間を作る場でもあります。岩壷ゼミでは,ゼミが始まる前から,内定者たちが集まる機会を持ち,ファイナンスの勉強を始めます。3 年前期に企業価値評価,株価予測,コーポレートガバナンスを勉強し,Stata を使ったデータ分析を行い,KH Coder を使ってテキストマイニングの仕方を習得します。3 年後期は日経ストックリーグへの参加がメインの活動です。このような活動を通じて培った思考力,プレゼンテーション能力,ディスカッション能力,データ分析力は,就職活動のみならず,将来,社会に出てからも役に立つものです。ゼミでは勉強だけでなく,BBQ やクリスマスパーティーを行い,親交を深めています。夏合宿では東京で企業訪問や OB・OG 訪問を行い,見聞を広めます。2024 年度 最優秀卒業論文賞受賞者からのメッセージ 年に 1-2 回,博物館や企業の見学をしています。意義ある卒業研究が,ゼミの一番の目標ですが,その目標に向かって,ゼミ生や教員がお互いに協力し合い,より良いゼミを作っていくガッツも同じくらい大切にしています。 同様に重要なのは,現場に行くこと。産業や地域の歴史研究には,実際に行って,自分の目で確認し,話を聞くことが不可欠です。皆さんは,お酒を飲んだ経験はないと思いますが,「灘の酒」を地理や歴史で聞いたことがあるでしょう。大学からほど近いところに,多くの酒蔵や資料館があります。「ほかならぬ灘が,なぜ酒造りの産地として発展してきたのか」という問いを一人一人考えつつ,酒造りのプロである「杜氏」から説明を受けながら見学し,見学後の利き酒もみんなで楽しみました。 OB/OG・企業の方を招いての「キャリアゼミ」などのイベントも,「イノベーション係」をはじめとするゼミ内の係が中心となって進めています。白木基金と白木賞 白木基金とは,阪神・淡路大震災で犠牲になった経済学部の白木健介さん(当時学部3年生)のご両親から経済学部に寄附された資金を基に創設されたものです。各年度の優秀な卒業論文に対して,この基金から優秀卒業論文賞が贈られており,「白木賞」とも呼ばれています。 3 年次に始まるゼミ活動では,興味を持った分野について学生一人ひとりが主体的に学びます。私が所属したゼミでは,各自がテーマを設定し,実際の企業のデータを用いて,企業業績や企業行動についての研究を行いました。企業経済学や計量経済学といった関連分野の深い知識が身についただけでなく,ゼミ内での報告や議論を通じて,プレゼンテーションスキルや質問力,論理的思考力も鍛えられました。 卒業論文の執筆にあたっては,研究の進め方や論文の書き方を指導教員の中村先生から丁寧にご指導いただき,納得のいくものを完成させることができました。研究が行き詰まった時には,ゼミ生同士の議論から解決のヒントをもらうこともありました。少人数ゼミならではの,先生からの手厚いご指導やゼミ生同士の繋がりは,神戸大学経済学部に入学して良かったと思う最大のポイントです。 4 年間の学生生活を振り返ってみると,多くの出会い,充実した授業やゼミ活動など,大学で得られたものの尊さを身にしみて感じます。皆さんも,神戸大学経済学部で実りある時間を過ごしてみませんか。
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