國學院大學 2021 入学案内
18/164

国学研究の基となる書物・史資料の数々昭和21(1946)年まで國學院大學の経営母体であった皇典講究所の初代総裁・有栖川宮幟仁親王は、皇典講究所の開校式において、教職員・生徒に対して「告諭」を述べた。この「告諭」に示された精神は、國學院大學の「建学の精神」の基底をなしており、また開校式が行われた11月4日は、國學院大學の創立記念日に定められている。▶有栖川宮幟仁親王告諭(写)明治15(1882)年11月4日駿府御城分間之図(八代国治旧蔵史料)江戸時代足利尊氏御教書(久我家文書)室町時代前期重要文化財住吉物語絵巻江戸時代初期豊臣秀吉朱印状(吉田家文書)天正19(1591)年徳川家康禁制(吉田家文書)慶長5(1600)年谷崎潤一郎『新訳源氏物語』草稿昭和20年代イタリア人の銅版画家であるエドアルド・キヨッソーネ製作の銅版画。彼は明治8(1875)年に大蔵省に招かれて来日し、紙幣や切手などの製作技術を伝えるとともに印刷原版の作成に当たった。その描く銅版画は技術に優れ、日本の印刷技術の向上に貢献した。幟仁親王の肖像は、衣冠姿の上半身像であり、明治10年代の製作とされる。▶有栖川宮幟仁親王肖像明治時代古墳時代の案(机)現代(復元)有栖川流書道江戸時代から明治時代沃懸地菊蝶図螺鈿印籠銘「芝山」江戸時代末期清華家のひとつである久我家の姫君の嫁入り道具として作製された『源氏物語』と思われる。物語54帖と付属する6巻の巻子本が豪華な漆塗の箱に収められている。物語の各冊の巻頭に一枚ずつ絵が描かれているなど、貴重な資料である。▶源氏物語(久我家本)江戸時代初期『竹取物語』は5人の貴公子および帝がかぐや姫に求婚をする物語。本絵巻はその『竹取物語』を題材として絵巻としたものである。江戸時代には、このような絵巻物を娘の嫁入り道具(祝儀物)として絵双紙屋に作らせていた。國學院大學図書館はこの絵巻以外に2種の『竹取物語絵巻』を所蔵している。▶竹取物語絵巻(武田祐吉旧蔵本)江戸時代初期室町時代後期の武将太田道灌(1432~1486)が長尾景春の乱を収束させたのち高瀬式部丞に送ったとされる書状の写し。「國學院大學本太田道灌状」と呼ばれ、写しではあるが、太田道灌の書状として、また東国戦国期の文書として著名な史料である。▶太田道灌状(八代国治旧蔵史料)室町時代後期明治期の法制官僚、井上毅による「帝国憲法」の草案。帝国憲法は伊藤博文のもと井上毅、伊東巳代治、金子堅太郎らが草案を作成したが、多くは井上毅の手によるものだった。國學院大學図書館は「帝国憲法」草案をはじめとした議会黎明期の文書などを、井上毅旧蔵「梧陰文庫」として所蔵している。▶帝国憲法草案(梧陰文庫)明治時代初期「禁制」は鎌倉期以降、幕府や大名・国人などが、寺社・諸人に対しその保護と統制を目的として、掟や禁止事項などを通知するために出した文書である。本書は織田信長の出した禁制。「弾正忠」を名乗るようになった直後のもので、有名な「天下布武」朱印が押されている。▶織田信長禁制(吉田家文書)永禄11(1568)年最古の歌集『萬葉集』のうち『元暦校本萬葉集』は、元暦元(1184)年に「右近権少将」(未詳)が『萬葉集』の写本を比較検討し、本文の異同を記したものである。零本は東京国立博物館に保管(国宝)されているが、その多くは断簡として各所に伝わっている。この断簡は旧蔵者の名から「有栖川切」と呼ばれる。▶萬葉集(元暦校本、有栖川切)平安時代末期016

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る