法律は、みんなのもの。祖母が訪問販売で買った布団が家に届いた。僕が中学生の頃だ。「私は返品しません」と書かれた誓約書には祖母の印鑑が押してある。「これだからお母さんは」と言いながら、父は代金の15万円を払った。特定商取引法という法律があり、本来、契約書を渡されて８日間は無条件で契約を解除できることを、のちに僕は新聞で知った。悔しかった。「法律は自分を守る手段だ。知っておいて損はない」法学部に入学を決めたのは、そう思ったからだ。それまでは法律なんて他人ごとで、テレビドラマに出てくる弁護士や検事だけが理解していればいいと思っていた。でもそれは違う。法律に関係がない人なんて、いない。法律には、人の尊さ、醜さ、面白さ、すべてが詰まっている。人間への興味が尽きない限り、僕は法律を追いかけ続けるだろう。068
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