國學院大學 2021 入学案内
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[経歴]1951年生まれ。國學院大學学長・國學院大學文学部教授、博士(文学)。1974年に國學院大學文学部文学科卒業後、1979年に國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。2019年4月に國學院大學学長に就任し、現在に至る。研究分野は、平安時代文学。國學院大學 学長針本 正行日本を学び、世界と向き合い、問い直す力から新たな知の創造を。國學院大學は、明治15(1882)年に国学・神道の研究教育機関として誕生した皇典講究所を母体とし、創設以来140年近くにわたり、本質を追究する教育と研究を続けてきました。 自分を育んだ“地域”を知ることが 他者の文化を尊重することにつながる本学が大切にしているのは、モノの淵源(えんげん:根源)を問い直す姿勢です。これは、他者や他国を理解するには、まず自らがよって立つところの文化や歴史を知る必要があるという考え方ともつながっています。一つひとつの国々が、それぞれ独自の成り立ちや価値観を持っているからです。自国の文化を学び、他国の在り方を学び、そこから再度自国の在り方を問い直すのが、本学が考える世界との向き合い方です。自分を育んだ地域の伝統や文化、価値観を知ることで、私たちは他者の文化的背景を尊重し、また、自らの在り方を世界に発信することができるのです。「もっと日本を。もっと世界へ。」というスローガンは、國學院大學が目指す“国際人”の姿を体現しています。 新たな知を受け入れることで 國學院大學の在り方を問い直す令和3(2021)年の設置に向けて認可申請中の観光学部観光まちづくり学科(仮称)は、本学が育んできた建学の精神を継承する学部学科です。ひとつ目のキーワードは“地域”です。これまでも、本学は各学部で祭りなどの伝統文化や地域社会・経済、そして地域を支える人づくりの教育と研究を行ってきました。新たに開設する学部では、それを地域の魅力の発見・発信、そして、人々が精神的にも経済的にも誇りを持って暮らし続けられるまちづくりのスキルの育成にまで展開していこうと考えています。歴史・文化や自然環境といった、その地域に住む人々が見過ごしがちな資源に着目し、観光やまちづくりを通して、この先100年でも200年でも地域社会が存続可能な枠組みを構築していく、國學院大學だからこそできる観光学部観光まちづくり学科(仮称)のありようを構想しています。もうひとつのキーワードは“文理横断型思考”です。 “地域”を考える上で文系・理系の区分けは合理的ではありません。持続可能な社会の構築に本当に必要なのは、民俗学から、数理統計、都市工学、そして観光学までを分野の障壁なく俯瞰できる人材です。本質を追究するために、仮説を立てて、分析し、仮説の証明や既存の価値観とは異なる新たな結論を導き出す営みは、普遍的な学びの過程であり、そこには、文系や理系という概念による区別はありません。価値観を相対化し、課題に主体的に取り組むこと、また、文理横断的で論理的な思考力によって根拠資料を分析し、新たな知を発信できる人材は、創設当時から変わらず、國學院大學が求めている人材像でもあります。新学部開設を契機に、新しい教職員、新しい学生を受け入れることによって、本学も「これからの國學院大學」の在り方を問い直していこうと考えています。 主体性を持ちながら自立する 「大おとな人」の育成を目標に伝統と創造、個性と共生、地域性と国際性の調和を「三つの慮(おも)い」としてうたう本学の教育目標は、多様な価値観を認め、他者との違いを理解し、主体性を持ちながら自立する「大人(おとな)」を育成することです。他者の価値観と自分の価値観を複眼的に受け入れる心を持つこと、異なる価値観を持つ人の考え方や意見を思考することが、國學院大學が目指す「大人」の姿です。在学中はもちろん、卒業後も既存の知や価値観に対して問いかけ、自分と他者の考え方の違いについて主体的に思考し、問い直す、そうした人材を育むために、知への欲求を喚起し、どこにいても知を共有できる大学を目指して、環境づくりを進めています。大学全体を、学生と教職員とが疑問を投げかけ合う共同共生空間にしていきたいと考えています。学びは、大学生活だけで完結するわけではありません。國學院大學は、皆さんにとって、生涯にわたって紡ぎだす知の出発点です。本学での学びを通して、卒業後も知への渇望を継続する姿勢を身に付けていただきたいと思っています。自らの心のうちにある学びの扉をたたいてください。「思考する身体」「問いかける身体」を意識し、躍動する皆さんを待っています。007

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