國學院大學 入学案内 2022
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文学部 哲学科 4年 [取材時] 田村 優樹 (私立新潟第一高等学校 卒業)株式会社トーハン 内定議論と思索を繰り返すことで、鍛えられた思考力。世界の存在、自分や他者の存在、時間の存在。誰もが当たり前だと思っていることを全く異なる視点から捉える「哲学」という学問に惹かれ、進学を決めました。哲学的思考の基礎を形作ってくれたのが「哲学概論」の授業です。テーマ別に具体的な思考法を学ぶ授業で、例えば「タイムトラベルが技術的に可能になっても論理的には不可能である」といった問いについて「それは何故か」を考えます。例題に挙がる事象が身近なものだったため、難解な概念もスムーズに理解できました。「哲学演習」も思い出深い授業です。日本の文化について書かれた本を選んで紹介し、それについて論じる課題で、私は精神分析学者の土居健郎が著した『甘えの構造』を選びました。甘えという概念が日本独特のものであり、それに相当する言語が外国では見られないという現象から日本人の心理や社会を読み解いた、興味深い1冊です。発表前には念入りに準備をするのですが、いざ他学生と議論を交わしてみると、自分の論拠が不十分であることや、異なる意見に優れた視点があることを幾度も痛感させられました。こうした学びを通して、物事を考える時に自己完結しない視野の広さが身に付いたと思います。卒業研究は、『男らしさと「かわいい」論』をテーマに書き上げました。比較文学者の四方田犬彦が著した『「かわいい」論』という本を「哲学演習」で取り上げたことがきっかけで、“かわいい”の持つ意味について深く考えてみたいと思ったためです。“かわいい”といえば、女性や子ども、動物などに多く使われる言葉ですが、男性に使われることは比較的少なく、言われて喜ぶ男性も少ない。“かわいい”という言葉がなぜそのような使われ方、捉えられ方をしているのか、古典をたどるなどしてひも解きました。研究を進めていると自分の中で作り上げた理論を否定されることもありますが、哲学はその繰り返しで成り立っています。私自身も指摘されたことを真に受け入れて、理論を練り直す努力を続けました。哲学科で学び、学業と私生活の両方で数多くの本に触れるうちに、出版に関わる仕事をしたいと思うようになりました。卒業後は、全国に書籍を流通させ出版業界を支える取次会社である内定先で、本の世界にどっぷり浸かります。本離れが進む昨今ですが、哲学で培った練り直す力と柔軟な思考力を活かし、魅力的な本をより多くの人に届けたいと思っています。私が学んだ 知の源流わかりやすい授業のおかげで、難解な概念も理解できた忍耐強く思考を繰り返して身についた“練り直す力”私が紡いだ 新たな知私が学んだ知の源流私が紡いだ新たな知5No.在学生インタビュー株式会社トーハン 内定文学部 哲学科 4年 [取材時] 田村 優樹 (私立新潟第一高等学校 卒業)株式会社トーハン 内定議論と思索を繰り返すことで、鍛えられた思考力。文学部哲学科4年 [取材時] 文学部哲学科4年 [取材時]田村 優樹 田村 優樹(私立新潟第一高等学校 卒業)(私立新潟第一高等学校 卒業)議論と思索を繰り返すことで、鍛えられた思考力。文学部哲学科KOKUGAKUIN UNIV. 049

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