國學院大學 入学案内 2022
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「一身にして二生を経るが如し」と述懐するように、福沢諭吉(1835-1901)は江戸時代と明治時代をそれぞれ33年生きました。中津藩の下級武士の家に生まれ、長崎、大阪、江戸で蘭学を学び教えたのですが、見物に出かけた横浜で英語の重要性に気づき、英語習得に努めた後、1860年に咸臨丸での米国視察団に通訳として参加しました。その後、1862年の遣欧使節、1867年の二度目の米国使節にも参加しました。なんと、江戸時代に三度の洋行経験を持ったのです。教育者(慶應義塾)、ジャーナリスト(時事新報)として生きた明治時代の福沢とは大いに異なる江戸時代の福沢諭吉に光を当てる講義を試みます。十返舎一九作『道中膝栗毛』シリーズは、弥次郎兵衛と喜多八という二人の庶民男性による旅の様子と、その旅中で起こす騒動や失敗を滑稽に描く江戸時代随一のベストセラー作品です。あまりの人気からさまざまな模倣作が作られ、その数は約百八十種にも及びます。滑稽本だけでなく、歌舞伎化もされ浮世絵にも描かれています。こうしたバラエティに富んだ弥次喜多の世界を紹介しながら、江戸文化を知る楽しみをひも解いていきます。3時限マルコ・ポーロの「ジパング」とは果たして日本のことだったのでしょうか?大航海時代に作成された西洋製古地図は、時々刻々更新されてゆく極東のすがたを映し出す「時代の証人」でもありました。國學院大學図書館が所蔵する豪華な15~16世紀の西洋地図レプリカによって、皆さんをイマジネーションに満ちた古地図の世界に誘います。そして、そこにジパングや日本が描きこまれる過程を追跡し、西洋と日本の出会いを再構成してみたいと思います。ジパングへの途―大航海時代の西洋古地図に描かれた日本―吉田 敏弘 教授専門分野:歴史地理学/地図史/中世絵図研究13:00~13:45統一テーマ見て読んで考える!江戸文化文学部INFORMATION高校生のための学びイベント、「國學院大學 文学塾」次回開催の情報は、決定次第文学部ホームページ・EVENTSコーナーにて公開します。第4期はこんな時間割でした!1時限文学部が主催する高校生のための新たな学びの場、それが「國學院大學 文学塾」です。第4期の開催は、令和3年(2021)年3月27日(土)にオンラインLIVE配信にて行われました。文学部の専任教員が講義を実施し、高校1・2年生はもちろん、卒業間近の現3年生や中学・高校の先生方なども多数ご参加いただきました。中国の霊魂観については、陽の「たましい」である「魂(こん)」と陰の「たましい」である「魄(はく)」とによって二元論的にとらえていくのが一般的です。「魂」は精神的な働きをする「たましい」であり、「魄」は肉体の生理的な働きをする「たましい」であり、生きているときにはこの「魂」・「魄」が宿り、死ぬと「魂」は天に帰し、「魄」は地に帰するとされます。しかし、実際には様々な様相を呈しています。志怪小説や道教の文献によって、一筋縄ではいかない中国の霊魂観を探りたいと思います。中国の霊魂観―魂魄説・三魂七魄説などをめぐって―浅野 春二 教授専門分野:中国宗教文化/道教の儀礼と民間信仰の研究10:00~10:452時限ドイツ語を公用語とする国の中でもドイツ、オーストリア、スイスの標準ドイツ語は標準変種と呼ばれ、語彙や文法、発音が少しずつ異なります。標準変種以外にも地方ごとに方言があり、ドイツ語圏では日常的に使い分けている地域が残っています。本講義ではドイツにおけるドイツ語標準変種の形成についての歴史を振り返り、ゲルマン語派の中でもドイツ語に現れた音韻変化やルターの聖書翻訳が果たした役割などについて触れていきます。ドイツのドイツ語標準変種新倉 真矢子 教授専門分野:ドイツ語音声学/音韻論11:00~11:455時限日本の美術や豊かなメディア文化を象徴する存在として、今や世界中で愛されている浮世絵。日本のパスポートの新図案にも採用された、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」はとくに有名ですが、これらの作品はなぜ、江戸時代にヒットしたのでしょう?そしてどのようにして、世界に広まったのでしょうか。旅、名所、信仰などをキーワードに、豊富なスライドを用いて、国内外の機関に所蔵される名品の謎を読み解きます。旅する浮世絵―パスポートになった北斎画「冨嶽三十六景」―藤澤 紫 教授専門分野:日本美術史/江戸文化論15:00~15:454時限弥次喜多、旅に出る―膝栗毛文芸の面白さ―中村 正明 准教授専門分野:近世後期文学/明治初期文学14:00~14:456時限福沢諭吉の江戸時代藤野 寛 教授専門分野:西洋近代哲学/倫理学16:00~16:45文学部KOKUGAKUIN UNIV. 053

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