3学長 針本正行未曾有の災禍が世界を襲っています。日常生活をはじめ学生生活にも多大な影響を与えています。大学で学ぶ意義はどこにあるのか、どのような人間観、世界観が求められているのかなど、一人の人間として解決できないことばかりです。皆さんは、このような時期に、國學院大學の学びの扉を敲いたわけです。そこで、大学で学ぶ意義とは何か、中でも、國學院大學で学ぶことの意味について、学長としての思いを述べることとします。大学は、教員から学生へ一方的に知識を伝達する場ではありません。これまでの人類が築いてきた学術的資産を問い直し、新たな知を構築し、真理を探究する機関であります。当該課題の過去の研究史を振り返り、課題に関わる資料の収集、資料の分析、それらをふまえて、教員と学生、また、学生と学生、相互による議論を通して、未知の価値を創造する場であります。ここで、皆さんが学ぶ國學院大學の歴史を確認してみます。國學院大學は、明治15年(1882)に創設された皇典講究所を母体とし、本年で創立141年を迎える歴史を有します。初代総裁である有アリスガワノミヤ栖川宮幟タカ仁ヒト親王は、皇典講究所開設にあたり、以下の「告諭」を宣言されました。 凡オヨソ學問ノ道ハ本モトヲ立ツルヨリ大ナルハ莫ナシ 故ユエニ國コク體タイヲ講明シテ以モッテ立國ノ基礎ヲ 鞏カタクシ 德性ヲ涵カン養ヨウシテ以モッテ人生ノ本分ヲ盡ツクスハ百ヒャクセイカ世易フベカラザル典テン則ソクナリこの「告諭」を、國學院大學の建学の精神として位置づけ、大学がどのような教育と研究を行うかの基本方針としています。また、明治23年(1890)7月に公表された「國學院設立趣意書」にも、國學院大學で学ぶことの意味について、「近時各国人ヲ教フル法、必先其国史・国文・国法ヲ授ケ、次ニ百科ノ学ニ従事セシムルヲ常トス」と謳われています。「告諭」と「國學院設立趣意書」の内容について、「学ぶ」という視点で現代的に解釈すると、「学問の根本とは、物の本質を極めること」、「さまざまな学問の中でも、日本人の基となる、神道、歴史、文学、法律、政治、経済などを学ぶことが重要であること」、「諸外国の学術・文化、さらには、文系の学問にとどまらず、あらゆる学術研究などの学問を学び、あらためて、日本の、日本人の独自性を認識し、一人ひとりの生き方を意義あるものにする」となります。本「学生生活ハンドブック」の冒頭に記されている「國學院大學の学生支援に関する基本方針」に基づき、教職員が一体となって、皆さんの学びをはじめ学生生活を支援します。皆さん一人ひとりが掲げる「知」の獲得を目指し、有意義な学生生活を送ってください。学生諸君へ
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