013 國學院大學が初めてシード権を獲得した第87回東京箱根間往復駅伝競走大会(2011年)で9区を走りましたが、大学時代をどのように過ごしていましたか? 大学時代を振り返ると、全体としてみれば入学理由でもあった箱根駅伝が大きな比重を占めていましたが、脇目も振らずまっすぐにというわけにはいかなかったですよ。1年生の時に陸上で思うようにいかず自信を失い、陸上に真正面から取り組めなかった時期もありました。ただ、そうして心がブレてしまっていた時間も含め、私にとって非常に濃い大学4年間だったと思います。 立ち直ったきっかけは何だったのでしょうか?2年生の時に受講した、伝承文学の授業の影響が大きいです。各地の昔話や民謡について解釈を深める研究をするうちに、それまで意識をしてこなかった自分の出身地域人生のターニングポイントは?の盆踊りやわらべ歌にも意図・意味があるんだと気付きました。とても新鮮な発見で、なぜ大阪の泉佐野市で自分は生まれたのだろう、という己のルーツを問い直す扉を開けてもらったような感覚でした。そこからですね、自己を見つめ直し、陸上競技者として周囲の方々に支えられ「走らせていただいている」ありがたさを理解したのは。箱根駅伝という夢に向かってもう一度真■に向き合う覚悟ができました。また、さまざまな授業を通じて出会った多くの先生方が各々の確かな人生経験に基づき文学を解釈されている姿を拝見し、自分なりのインプットとアウトプットを進めていくことの大切さを実感しました。私は大学での学びを競技に還元するというやり方を在学中に実践したことで、なんとなくですが卒業後の人生の歩み方の一端を掴めたように感じています。 卒業後、家業であるタオルの製造業にひらく05
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