國學院大學 入学案内 2023
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017 國學院大學は、明治15(1882)年に創設された皇典講究所を母体として設立され、本年で創立140周年を迎えます。皇典講究所の初代総裁である有栖川宮幟仁親王が、その開設にあたって宣言された「告諭」にある「凡ソ學問ノ道ハ本ヲ立ツルヨリ大ナルハ莫シ」に基づき、本学は、物事の本質を究めることを教育研究の指針としています。「本を立つる」例の一つとして、「モノの淵源を問い直す」ことがあげられます。物事の本質を知るために、国や社会、地域の歴史、文化のはじまりや成り立ちを究明することは、自らが生きる現代社会を問い直すことにつながり、他者の歴史や文化を尊重し、これからの共生社会を主体的に創り出し、担っていく人材育成の端緒にもなります。 現代社会は、内閣府が提唱する「Society5.0」に象徴されるように情報・技術革新が進み、AIの活用によって、社会課題の解決や新たな価値の創造をめざす社会です。今般、全世界を襲ったコロナ禍は、デジタル化を加速させ、さらなる社会構造や産業構造の変革を促しました。変貌する現代社会は、これまで以上に人間の働き方、生き方が問われることになると思われます。もちろん、人間はAIによって導き出された結果を安易に受け入れることにはためらいがあり、AIが示した結果を人間が分析し、判断しなければならないこともあるでしょう。科学技術の進展は、これまでの人間の活躍の場を奪われるのではないかという不安を抱くことではなく、むしろこれまで人間の内に秘めていた力を覚醒させ、新たな知を創造する契機になるものと受け止めたいものです。國學院大學 学長針本 正行えんげんなありすがわのみやたかひともと 令和4(2022)年4月に開設した「観光まちづくり学部」では、地域の文化、歴史、自然を文理横断的で多様な視点から学び、地域の人々と共に考え、持続可能なまちづくりを実現していく人材の育成を目指します。また、新学部の誕生を機に、既存の学部との学術交流を進め、学生同士の親交や学びの多様化を実現していきます。新たな学問知が加わり、人と人とが交わることで本学にかつてない新しい知が創造されることを期待します。 産業構造、社会構造が著しく変化する現代は、学生一人ひとりに、「職」に「就」くことの意味を問いかけ、就業のあり方を考えさせ、自らの生き方、人間としてのあり方を問う時代でもあります。このような社会状況をふまえて、本学は新たな教育目標を策定しました。すなわち、日本の歴史、文化、社会を見つめ直し、これまで蓄積されてきた「知」を問い直し、学生と教員、学生と学生とが学び合うことにより、他者を尊重し共生する未来社会を創り、共に生きることをかけがえのないものとする人材を育成することです。今後も世界が持続可能であるためには、一人ひとりの人間の存在を互いに認め合う「共生社会」を志向していくことが求められます。そのために、異なる背景をもつ人々の価値観を尊重し、多様性のある学び舎の構築を目指します。 大学は、社会の課題を自身の問題として受け止め、「知」の創造に挑み、自己実現を果たす学生の皆さんを全教職員が一体となって支援します。[経歴]1951年生まれ。國學院大學学長、博士(文学)。1974年に國學院大學文学部文学科卒業後、1979年に國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。2019年4月に國學院大學学長に就任し、現在に至る。研究分野は、平安時代文学。学長メッセージPresident's Message

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