一般選抜入試 科目別アドバイスKOKUGAKUIN UNIV. 136たく泣きたまふ。」(『竹取物語』)では、「たまふ」が「尊敬語」の補助動詞であることに気付き、動作をする人の「かぐや姫」を高めている、と答えられれば正解です。文章を読解するのにも必要なので、きちんと学習してください。 ③単語は読みながら身に付けよう! 古文の単語には、現代語にはなかったり、意味が異なったりする単語があります。文章を読みながら、古語辞典や単語帳を利用して身に付けてください。文章を読むときには、先にも述べたように、述語が重要ですので、述語を押さえて「誰が・何が」「誰を・何を」などと述語との関係を意識して読んでみてください。 その他、文学史の流れも理解しておきましょう。また、教科書や問題集以外に、図書館や書店などで、実際に古典文学の作品を手に取ってみることをお勧めします。ポイントを意識して、基本を押さえる【文章の種類】 「漢文」では、120字から200字程度の文章を読んで、述べられている内容を理解することが求められます。文章の種類は、史伝、随筆、時に評論文など。種類によって、読解のポイントが筆者の主張にあるのか、あるいは人物の行動や心情の推移にあるのか、など変わってくるので、意識することで、内容を効率的に把握し、理解することが期待できます。 【学習の方法】 設問には、①単語の意味や句法、訓読 ②現代語訳、解釈 ③要旨を問う 等があります。単語や句法については、高校補助教材や大学入試用の漢文文法書で、基本事項を押さえておきましょう。そして、項目をただ暗記するだけでなく、ドリルや問題集を解いて、実践をまじえることで習得が確かになります。また、試験では短い時間で読解し、解答することが求められるので、ある程度の長文を繰り返し読み、読みの速度を上げる訓練も有効です。一例として、漢文教科書所載の文章を、大意を確認したうえで何度も読み、スピードと解釈の精度を高めていく方法があります。教科書には文学・思想・史伝の重要な作品が収められており、また、使われている単語や句法にも重要なものがたくさんあります。その内容に精通することは、確実な実力向上につながります。 以下、項目別にポイントを記します。 ○語順を重視する 漢文(中国古典文)は、語の関係を語順によって表します。同じ名詞でも述語の前なら主語、述語の後なら目的語などに変わります。語順の種類はそう多くなく、文法書でもはじめのほうに少ないページで簡単に説明されているものが多いのですが、内容は重視しておきましょう。 ○句法への向き合い方 漢文では、「誰が/何を/いつ/どこで/どのように/どうする」といった基本内容を語順の法則に従って表しますが、使役や疑問、受身などのニュアンスを表すには、特定の決まった表現を用います。この表現法を多くの場合「句法」といいます。句法の項目は非常に多く、文法書の半分以上を占めるものですが、「その表現法を覚えてしまえば、どのような文章にもその表現法で出てきて、解釈も決まっている」ため、型を覚えれば覚えるほど、初見の文章でも読解を助けてくれます。句法については、まず文法書で、再読文字、否定、疑問・反語、使役、仮定などの区分を把握したうえで、各区分とも基本的な型から示されているので、順に覚えていくとよいでしょう。 句法の多くは何らかの強調を行います(例:「AがBに〜した」をあえて「BがAに〜された」と受身で表す/「Aである」をあえて「Aでないものなどない」と二重否定で表す、など)。そのため、事実関係を説明する地の文では、句法はそれほど用いられず(単純否定や使役など、強調を伴わないものを除く)、会話文や、筆者の主張を述べる文ではさまざまな句法が用いられ、内容が強調される傾向があります。最初に述べた問題文の種類と結び付けて意識するとよいでしょう。 ○重要単語の位置付け 文法書には、頻出語や強い意味を表す語、誤読しやすい語などが「重要単語」としてまとめられていることがあります。重要単語は句法とともに、「文章で頻出し、内容理解の助けやカギになりやすい表現」であり、そのため、訓読や意味を問う設問にもなりやすい、といえます。名詞、動詞、形容詞、副詞(句法と結び付く場合も多い)など、品詞別に整理して覚えると効果的です。また、「与」「為」「以」「見」など、多用されると同時に意味・用法の使い分けの多い語に、注意するとよいでしょう。 ○訓読の注意点 「将(再読する場合、「まさに〜す」)」や「不能(あたはず)」、「雖(いへども)」などを含む表現を正しく訓読するためには、単独の読みを覚えるだけでなく、「どう接続して用いられるか」を含めて理解する必要があります。単語や句形のみにとどまらず、たとえば「不能」なら「其人不能応也(そのひとこたふることあたはざるなり)」といった例文で覚えれば、「不能」への接続(連体形(+こと))も含めて理解できることが期待できます。単語・イディオムの域を超えて、文の訓読や内容理解に長じるためには、個別に暗記した内容を、実際の文・文章を読み確認することが大切です。理論と実践を組み合わせて学習するとよいでしょう。 なお、訓読は言うまでもなく文語文法の約束に従っています。特に動詞の活用や助動詞の意味・活用については、熟知する必要があります。これは古文の重要項目でもありますが、問題を解くうえでの違いが、古文では「示された箇所の品詞や活用形などを答えること」が主であるのに対して、漢文では「返り点や送りがなが省略された箇所を、接続や活用を含め、自分で正しい表現を考えて読むこと」が主であるということです。ただ暗記するだけでなく、熟知する必要がある所以(ゆえん)です。出題は教科書の範囲内。偏らない勉強がカギ! 日本史の試験問題の傾向は、近年ほとんど変わっていません。大問が4題各25点で、1が原始(考古)・古代、2が中世、3が近世、4が近現代を出題の対象としてきました。うち1題は史料問題であることが多いです。配点は1問につき2点か3点、全体で40問程度あり、マークシート方式で解答します。 出題の内容は、政治・経済・社会・文化・思想・対外関係など、さまざまな分野にわたっており、特定の分野に偏るようなことはほとんどありません。出題の範囲は、高校の学習範囲に限っており、教科書の本文を中心に、図や表、注釈を十分理解して、基本となる歴史事項、つまり各時代、各分野、それぞれの特徴を理解・整理して、時代の流れをしっかり押さえることができれば、合格ラインに達することのできる出題となっています。史料問題は一見すると難しそうでも、史料は歴史探究の基本なので、史料全体が何の事件や人物にかかわるものかを読み取ることが特に重要です。史料からその背景・筆者(作者)を問い、歴史的な語句・用語を尋ねることが多いため、教科書だけでなく、史料集などで慣れておくようにしましょう。 基本的には、教科書に書かれている年次・人物・官職・作品・地名などを、年表・辞典・用語集・史料集などによって確かめつつ、時代の流れや前後とのつながり、あるいはその逆に断絶や変化などを捉えながら、知識を身に付けていくことが望まれます。マークシート方式であっても、選択肢は人名や語句だけでなく、総合的な思考や判断を必要とする場合があるので、教科書の内容をただ丸暗記するだけでは解答できないでしょう。史実のポイントをつかみ歴史の流れの中にそれらを位置付けその意義を考える、といった歴史の学びを磨くことが何より大切です。
元のページ ../index.html#139