一般選抜入試 科目別アドバイスKOKUGAKUIN UNIV. 138【範囲、出題形式】 A日程の数学①と数学②の一部、およびB日程では、「数学I」と「数学A」から出題されます。「数学I」と「数学A」の両科目の分野を、(1)「数と式」と「命題」、(2)「二次関数」、(3)「整数の性質」、(4)「場合の数と確率」と「集合」、(5)「データ分析」、(6)「図形と計量」と「図形の性質」というように大きく分けて問題の分野を考えています。 A日程は大問3題のマークシート方式です。大問1はいくつかの分野の小問からなる形式でした。B日程は大問3題の記述式です。 【求められる能力】 A日程3日間の入試問題を総合して次のような分野の問題が出題されました。それぞれの分野において求められる能力について解説します。(1)「数と式」では、実数についての正しい理解、絶対値を含む方程式や不等式の解法などを問う問題でした。正式の計算や因数分解の問題では、式の変●経済 「経済」の問題はマークシート方式で出題され、教科書・資料集・用語集の内容を中心として出題されます。一部、時事問題や資料読解の問題が含まれることがあります。「政治・経済」の大問3と4が経済分野からの出題で、それぞれ小問12-13問程度から構成されます。難問は稀で、標準的な教科書レベルの出題内容が多くなっています。共通テストの対策をしていれば、本学の出題にも十分対応できるかと思います。 基礎レベルの学習としては、まずは教科書をよく読み、その内容を押さえることから始めると良いでしょう。複数回精読して、着実に内容をすべて覚えるようにしましょう。失業率や経常収支といった統計や指標の用語については定義を覚えるだけでなく、どのような水準や傾向にあるのかを含めた理解が必要です。 教科書には網羅的にさまざまな学習内容が書かれていますが、一つひとつの記述が短く、内容を理解するうえでは手がかりが少なすぎるかもしれません。政治・経済の教科書自体、歴史科目等に比べてページ数が少ないことも、この問題に拍車をかけています。日々の授業をよく聴き、教科書に書かれていない解説内容をメモにまとめるなどの作業はもちろん、学習が進んできた段階からは、日々摂取する情報量を増やす方法を考えることも重要です。 有益な手段のひとつは、資料集や用語集を、自身の保有しているものの他に、もう1社分入手してみることです。同様の内容であっても、別の表現やまとめ方がなされていることがあります。複数の情報にあたり、個々の書き手の個性や裁量の範囲、全体としての相場感をつかむことは、大学に入ってからの学修でも重要となる読み方です(データ・トライアンギュレーションといいます)。出題者は複数の教科書や資料集、用語集を確認して出題しています。一部の教科書でしか触れていないような内容も、「教科書レベルの出題」には含まれます。用語集には、それぞれの用語がいくつの教科書で言及されているかを記載しているものがありますので、学習の参考にしてください。 日々の経済関係の語彙を増やすためにも、経済関係のニュースに目を通すことも重要です。『日本経済新聞』などを読むと、高校生の日常語彙とは異なる用語が多数使われていることが分かります。新聞を読むことで、各種用語の実際の使われ方を把握し、イメージを持ちやすくするという効果があります。また、マークシートによる選択式の出題では、誤答選択肢を確実に誤答であると理解できることも重要です。この点においては、教科書とは関係ない、一般常識的な知識が要求されることもあります。常識的に誤答と判断できる選択肢として用意された内容が理解できなかった、というような状況は避けるべきでしょう。 漫然と新聞を読むだけでなく、新聞データベースやインターネット等で学習したい用語を検索し、読んでみることもよいでしょう。歴史的な事象については最新のニュースにはなかなか登場しないからです。【対策】 本学の数学は教科書レベルの問題がほとんどです。したがって、「数学I」と「数学A」の教科書の内容を十分に理解することが、最もよい試験対策といえるでしょう。徹底的に教科書を勉強し、教科書の練習問題を完全に解けるようにすることが、試験対策の第一歩です。教科書の内容を一通りおさらいした後には、標準的な問題集を少しずつ解くことで実力はアップすることでしょう。 数学の問題で使われる文章は平易な文です。文章題の場合には、読み飛ばすことなく落ち着いて読み、状況を把握しながら解いていく力をつけておきましょう。 言うまでもなく、計算能力は必須の能力です。数値や式の計算が正しく行えなければほとんどの問題を正解することはできません。勉強をするときには、ノートなどを使用し、解答に至るまでの手順を丁寧に記述するようにしていきましょう。図形に関する問題では、大きめに図形を描くなど工夫してみましょう。式や図形を丁寧に書くことによってミスが少なくなり、記述式の問題にも対応できるようになります。【範囲、出題形式】 「数学Ⅱ」「数学B」の出題はA日程のみで、すべてマークシート方式です。 令和5年度は、(1)「三角関数」(2)「数列」(3)「指数関数・対数関数」(4)「ベクトル」(5)「微分・積分の考え」(6)「確率分布と統計的な推測」の分野から出題しました。【求められる能力】 A日程3日間の入試問題を総合して、次のような分野の問題が出題されまし形を正確に行うことが求められます。絶対値を含む問題では、場合分けをして手順通りに解いていくことが求められます。「命題」は真偽の理解が基本となります。(2)「二次関数」では、二次方程式の解と二次関数のグラフとの関係が正しく理解できているのかを問う問題を中心に出題されました。二次方程式の判別式についての正しい理解が求められます。グラフの平行移動や対称移動と二次関数の変化についての正しい理解が求められます。(3)「整数の性質」ではn進法、最大公約数や素数についての理解を問う問題でした。整数に関する問題では、素因数分解や最大公約数などの正しい理解を求められます。n進数では計算方法についての理解が求められます。(4)「場合の数と確率」では、事象の確率について正しく状況を把握しながら確率や組み合わせを問う問題でした。確率については、事象や余事象についての正しい理解が求められます。場合の数については、状況を把握し、順列や組み合わせの計算を正しく行うことが求められます。(5)「データ分析」については、データの散らばりとデータの相関に関する問題と、データ分析に関する教科書レベルの文章題が出願されました。落ち着いて文章を読み、状況を把握する能力、データの分析に関する正しい理解と正確な計算能力が求められます。(6)「図形と計量」と「図形の性質」では、与えられた図をもとにして、文章を正しく読み、補助線などを描きながら解き進める問題でした。空間図形に関する問題では、正しく図形を把握しながら面積や体積を計算する能力が求められます。三角形では余弦定理や正弦定理を利用し、正確に計算を進めることが求められます。図形の性質としては、特に三角形に関して、その性質の正しい理解が求められます。 B日程では、(1)、(2)、(3)、(4)、(6)の分野から出題されました。B日程は記述式であるため、問題に指示してある通りの解答形式になっているかどうかも採点のポイントになることがあります。正確に解くことに加え、解答の書き方にも留意しましょう。
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