139【求められる能力】 「力学」、「電気とエネルギー」、「熱・熱と気体」、「波動」の4つの分野において、それぞれ問題を解く上で求められる能力について解説します。1.「力学」分野では、物体の運動に関する問題、物体にはたらく力について考える問題が主に出題されます。物体の運動を説明する上で、力の作用や種類について理解しておくこと、各物体について運動方程式を立式できることが必要になります。力学分野では力や速度、加速度などがベクトル量で表されるため、ベクトルの加法や減法、成分分解の方法を理解しておくことも大切です。また、力学分野には、放物運動や物体の衝突、単振動など幅広いテーマがあるため、一つ一つのテーマごとに原理を正確に理解していることが求められます。た。それぞれの分野で求められていた能力について解説します。(1)「三角関数」では、具体的事象を三角関数で表現し、三角関数の基本と特徴を理解しているかを確認する問題でした。(2)「数列」では、等比数列の和や等比数列の一般項を問われる基本的な問題でした。(3)「指数関数・対数関数」では、対数の基本的な性質を、微分の基本的考えと組み合わせて理解する問題でした。(4)「ベクトル」では、日常的な事象をベクトルの概念に変換して考え、最適な条件の組合せを導き出す問題でした。(5)「微分・積分の考え」では、微分・積分自体の意味や接線の方程式、面積の算出などの基本的な理解と計算力を確認する問題でした。(6)「確率分布と統計的な推測」は、具体的事象から、二項分布や正規分布の基本的な理解と統計的推測から区間推定を確認する問題でした。 本学の「数学Ⅱ」「数学B」は、一見難しそうに見える問題でも問題文を落ち着いて読み、基礎知識で解ける要素に着目しながら、誘導に従って解いていくことができるような出題を心がけています。 そのため、教科書の内容を十分に理解することが、最もよい試験対策といえるでしょう。特に、各単元の基本的事項、公式、定理については、単に暗記するだけではなく、根本からきちんと理解し、自力で公式や定理の証明ができるように、教科書をよく読んで学んでください。そのうえで、教科書の練習問題に丁寧に取り組み、一通りできるようになったら、発展問題にも積極的に取り組みましょう。また、「数学Ⅱ」「数学B」では「数学Ⅰ」「数学A」の知識が前提となっていますので、両者を融合したような問題にも取り組んでおくとよいでしょう。 なお、計算能力は大前提として、限られた時間内に、全体を見通して、解ける問題から正確に解いていく訓練を積むことが大切です。勉強するときには、ノートなどを使用し、解答に至るまでの過程を丁寧に考え、記述する習慣をつけましょう。2.「波動」分野では、波長・振幅・周波数・位相差など波の性質、概念を理解した上で、干渉や回折、複数の波が重なったときの合成波の様子など、波の諸現象に関して説明できる力が求められます。また、気柱の共鳴や光の反射・屈折など、音や光に関する現象についても正確に理解しておくこと●物理【範囲、出題形式】 本学の入学試験において、物理は、全日程とも「物理基礎」、「物理」の全範囲から出題されます。大問は4題で構成され、出題形式はすべてマークシート方式です。設問数は全体で20問前後であり、第1問は「小問集合」、第2〜4問は「力学」、「電気とエネルギー」、「熱・熱と気体」、「波動」の4つの分野のうちいずれかが出題されます。なお、発展的な学習の内容や、一部の教科書にのみ記載されているような細かい知識を問う問題は、原則として出題を避けています。解答方式は、最も適切なものを選択する形式、または、数値を解答する形式を一部含みます。【勉強のポイント】 本学の物理の試験は、教科書レベルの知識に基づいた問題がほとんどです。したがって、教科書の内容を十分に理解することが、最もよい試験対策といえるでしょう。 具体的な勉強方法としては、まずは基本的な法則や公式を理解し、覚えることが必要です。物理の問題には、図を描くことで問題をイメージしやすくなるものが多くあります。図を描いて、物理現象をイメージし、問題を解く習慣を付けることも大切です。 また、試験問題の分量は、時間的に余裕を持って解答に臨めるように設定しています。焦らず、正確に計算をすることを心がけましょう。内容についても、複雑すぎる計算を必要とする問題はなるべく避け、あくまでも物理的な意味を理解しているかという点を重視しています。教科書の例題に準じる内容、難易度の問題演習を重ねて、各単元で扱う物理現象の原理を一つひとつ丁寧に理解することが大切です。【求められる能力】 A日程3日間の入試問題の出題内容を総合して、それぞれの分野において求められる能力について解説します。 第1問:小問集合では、「化学基礎」および「化学」の全範囲から、基本的な知識や計算力を問う問題が出題されました。全体を通して、教科書に登場するよく知られた元素やイオン、単体や化合物を題材としており、それらの性質や結合のしかた、変化や反応についての幅広い知識と理解が求められます。計算問題では、基本的な手順に従い、計算によって数値を正確に求めることはもちろんですが、文字式を利用して表現する力も求められます。 第2問、第3問:「理論化学」から、それぞれ(A)と(B)の中問2題構成で出題されました。中問ごとに、一つのテーマに沿ってさまざまな問題が出題され、「理論化学」についての知識とその活用ができるかが問われました。化学基礎の範囲では物質の状態変化のほか、中和反応や酸化還元反応といった化学変化やその利用に関する問題が出題されました。また、化学の範囲では気体や溶液の性質、熱化学、反応速度や平衡に関する問題が出題されました。計算問題やグラフを用いた問題も出題されており、理論化学についての基本的な事項の理解と知識の活用力が求められます。 第4問:構成は第2問、第3問と同じ中問2題構成ですが、(A)では「無機化学」、 が必要です。3.「電気とエネルギー」分野では、電荷の基本的な性質やクーロンの法則、電場の性質などの基礎を理解した上で、静電気に関する現象や磁場の中での荷電粒子の運動などの現象を説明できる力が求められます。また、回路やコンデンサーに関する基本事項の理解や、教科書の例題に準じる内容、難易度の問題を確実に解けるようにしておくことが必要です。4.「熱・熱と気体」分野では、熱と温度の定義、熱伝導、比熱などの基礎的な概念を理解した上で、気体の状態変化などの現象を説明できる力が求められます。例えば、P‐Vグラフ上に表された熱サイクルから、気体の状態の変化や仕事と熱のやり取り、熱効率などについて考察する問題では、それぞれの状態の温度、圧力、体積を用いて、気体の状態方程式を比較したり、内部エネルギーの変化量を求める計算などができるようにしておくことが必要です。●化学【範囲、出題形式】 本学の入学試験において、化学は、全日程とも「化学基礎」、「化学」の全範囲から出題されます。大問は4題で構成され、それぞれの大問の構成は、次の通りです。 第1問:「化学基礎」、「化学」の全範囲から小問集合の出題。 第2問、第3問:中問2題構成で、それぞれ、化学基礎の「物質の構成」や「物質の変化とその利用」、化学の「物質の状態と平衡」や「物質の変化と平衡」などの「理論化学」からの出題。 第4問:中問2題構成で、それぞれ「無機化学」と「有機化学」からの出題。 出題形式は、すべてマークシート方式です。
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