國學院大學 文学部 令和8(2026)年度 入試ガイドブック
33/60

哲学科岡本 源太教授哲学科 4年西田 琴音さん31岡本 哲学科は、哲学・倫理学と美学・芸術学の2つのコースがありますが、そのなかで私は美学と呼ばれる学問分野を担当しています。美学?と、はじめて耳にする人もいるかもしれませんが、簡単に言えば「美や芸術についての哲学」ということになります。人は美しいものに出会うと言葉を失って、代わりに眠っていた感覚が鋭敏になります。そうして、知らなかった世界を認識し、新しい思考や行動を獲得します。美学とは、こうした言葉になる前の感性にもとづく思考と行動を、哲学的な概念分析と歴史的な事例分析とを駆使して把握する学問です。西田 私は中学の頃から現代アートに興味があったのですが、作品を考察するためには、その根本にある哲学的な問いに対する理解を深める必要があると考えてきました。そこで、哲学と芸術学の両方を学ぶことのできる國學院大學を選択しました。岡本 もともと私の専門分野は現代の哲学思想と芸術理論だったのですが、現在は西洋ルネサンスと並行して研究しています。万能の芸術家たちが登場して多彩な芸術が花開くとともに、美を「何か知れぬもの」と考え始めたのがルネサンスで、西洋近代のはじまりと言われるこの時代の文化や思想が、明治以降の日本が受け入れた西洋化の起点になっているためです。レオナルド・ダ・ヴィンチのように何にでも取り組む、いまと違って、分化していないというのも魅力的ですね。西田 私は卒業研究を「20世紀フランスの美学・哲学」にしました。それまで写実的だったものが抽象的になるなど、現代アートにつながる考え方が生まれはじめたのが20世紀で、まずその時代を勉強したいと思ったからです。アーティストが作品を作るにあたって、見たものを分解して再構成する、「考える」という作用が関わっているということを研究を通じて知ることができたのが大きかったと思います。岡本 「考える」というのは、実は誰でも簡単にできることではありません。新しい知らないことに出会って、自分を変えていきたいと望むのなら、よく考えることが必要です。哲学とは、よく考える訓練です。國學院大學の哲学科には、哲学・倫理学・美学の3分野が揃っているので、「真」「善」「美」の全体を包括的に考えることができます。また、古代ギリシアやインドから現代ヨーロッパや日本まで、さまざまな時代や地域の哲学思想を学びながら、考えを深めることができるのも大きな特長です。そのなかから、自分には何ができるのか、探し出してみるということもできるわけです。西田 國學院大學の良いところは、授業や教員の方々によってさまざまな分野や時代、地域がカバーされているところです。そのため、今まで関心がなかった分野にも興味を持ち、異なる時代や地域を関連づけながら考察する力をつけることができました。対 談●哲学科を漢字一文字で表すと・・・(学年は取材時のもの)驚きこそ知恵を愛する人に特有の感情だ、とプラトンは言いました。驚くところから考えることが始まるのです。毎日の繰り返しのなかで驚きを忘れてしまい、それゆえに何も考えずに過ごしていませんか。驚「真」「善」「美」の全体を包括的に考えることができる

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る