國學院大學 文学部 令和8(2026)年度 入試ガイドブック
35/60

 「世界は本当に私に見えているような世界なのか」「時間に始まりや終わりはあるのか」「死はどんな場合にも悪いことか」「歴史は進歩のプロセスか」「科学と疑似科学の違いは何か」「美しいものは誰にとっても美しいのか」「芸術と芸術でないものの違いはどこにあるのか」――これらはいずれも哲学が久しく取り組んできた問いです。答えは今も出ていません。でも、諦めずに今なお問われ続けているのは、これらの問いが、いつの時代の人にとっても放っておけない切実な関心事であるからに違いありません。そこから、現在の問題と取り組むものでありながら歴史に問い尋ねることに大きな意味があるという、哲学の不思議な、面白い特徴が生まれます。 國學院大學の哲学科の特色は、二つあります。 一つは、哲学・倫理学コースと美学・芸術学コースの二つのコースからなっている(学生は3年次にコースを選択する)ことです。文学部に属してはいますが、哲学は、文系・理系・芸術系すべての人の関心をカバーできると称する欲張った学問です。他大学では哲学科・倫理学科・科学哲学科・美学科・美術史学科などに分かれて勉強することを、学科の区別から自由に、総合的に学べる場――それが、國學院大學哲学科の特色です。なお、哲学・倫理学コースと美学・芸術学コースのどちらかを選択するということは、どちらか一方しか学ぶことができないことを意味するものではありません。 もう一つの特色は、現代の問題に歴史に目配りしつつ取り組むことをめざす、歴史と現代の絶妙なバランスにあります。哲学・倫理学コースでは、三人の教員がそれぞれ英米・独・仏をフィールドとして近・現代の哲学を講じる一方で、古代ギリシア哲学と語、サンスクリット語といった古典語も学ぶことができます。 美学・芸術学コースでは、美しさについて理論的に考察しつつ現代芸術の新たな動向を、ジャンルを問わず旺盛な関心をもってフォローすることができると同時に、西洋・東洋の美術の歴史に学び、美の歴史的宝庫に深く沈潜する研究が可能です。33学科の特色 自分の資質や関心に応じて二つのコースを自在に行き来する

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る