◆卒業生紹介◆院大學の教職課程では志を同じくする多くの仲間と出会えます。情報を交換し合い、助け合うことが肝要です。 教職が学生たちから敬遠される昨今、「若い私たちが、今、ここで踏ん張らねば」と思う日々です。教職を志す皆さん、是非とも私たちに力を貸して下さい。 (今は)意味がない、関係ない、場合によっては(入試で)使わないというバイアスに凝り固まってしまった生徒でも、何かのはずみで今見えている範囲の「外側」に触れると、途端に生き生きとした反応を示します。そんなふうに、現状を「変形」させたり「飛躍」させたりすることを喚起し、「考える」ことができる授業を目指しています。そのためには、当たり前ですが我々の側に、小手先ではない揺るぎない準備が必要です。そして何よりも、我々自身が心底学びを楽しんでいることが必須だと考えています。 教壇に立ち始めてからだいぶ時間が経ち、少しは周りを見る余裕が出てきた今だからこそ、教師としての私の下地は大半が國學院大學で培われたのだと改めて実感しています。もちろん、この実感と当時の経験も余すところなく生徒に伝えています。 私は現在、高等学校芸術科の書道の教員として公立高校に勤務しています。現在は2年次担任、書道部顧問として、生徒たちと共にとても濃い日々を送っています。 大学時代は、書道研究會に所属し、先生方の熱心な御指導の下、主に仮名古筆を中心に、臨書をしたりそれを活かして和歌を倣書したりと、何事も楽しみながら書に取り組んでいました。いざ教壇に立つと「書は上手下手で決まるのでは?」「自分にはできないのでは?」など、書に抵抗感を覚える生徒が多いのが現状です。だからこそ、生徒に書を教える立場となった今、いつも念頭においていることが書を楽しむということです。生徒に、書を通して、できるという発見や喜び、楽しさを感じてほしいと思っています。好きなことを仕事にできている喜びを感じながら教材研究に取り組み、自分自身も向上できるように努めていきます。大学での出会いや経験、そして書を通して培った継続力や忍耐力は今の私の大きな支えです。卒業後も心強い繋がりを持つことができ大変嬉しく思っています。 授業であれ学級運営であれ、私が大切にしているのは、生徒の声に耳を傾け、生徒の小さな変化を見逃さないことです。これは教員をしていた祖母の教えでもあります。生徒の様子をよく観察し、例えば、いつもとは異なる暗い顔をしていたら声をかけるだけでなく、日々頑張っている生徒を称えることも欠かさない。こうした気づきや働きかけが大切だと考えます。 生徒は教員のことをよく見ています。「あの教員いい加減だな」と思われたら最後、生徒の心は離れてしまいます。本気で接すれば、生徒もついて来てくれます。多忙を理由に生徒のことを後回しにして自分のことを優先しがちになってしまうからこそ、この教えを忘れないようにしています。 仕事をする中で不安になることもあるかと思います。その際、独りで悩まないことです。幸い國學 私は現在高校一年生と三年生の古文を担当しています。大学では中国文学科で主に漢文を勉強していたため、古文や現代文については授業準備から教えるに至るまでかなり時間がかかりました。一つに国語科の免許といっても現代文・古文・漢文とあるため、大学の授業では自分の専門でない分野の勉強も積極的にしておくと良いと思います。 教員の仕事は生活指導もそうですが、一番大事な仕事はやはり「しっかりと授業を行うこと」だと考えます。そのためには時間が多く取れる大学生のうちに気になったことや興味のあることについてどんどん研究していってください。そうすることで増えた知識の引き出しが、授業のふとした時に引き出され、役に立ったことが何度もあります。教科書に載っていることだけでなく、大学で得た知識を多く盛り込み、自分だけにしかできない授業をつくることを常に意識しています。國學院大學中国文学科で学んだ四年間の中では先生方の興味惹かれる授業が多くありました。ぜひ一つ一つの授業に意欲をもって参加してください。 漠然と資格を取ろうと思って、教職課程を取ろうと考えている人は時間的にも金銭的にも負担がかかるので考え直してもいいかもしれません。学校現場で仕事をして感じたことは、想像以上に時間がないということです。これから大学に通われる皆さんには時間がとれる大学生の間に教員の仕事について深く学び、教科の専門性を高めることに努めてほしいと思います。 いずれにせよ、教員の仕事は毎日が勝負です。毎日の授業をしつつ、明日、1週間後、3年後の卒業をイメージしながら指導をしていく必要があります。大変だと思うこともありますが、日々成長していく生徒と関わることにこの上ない喜びを感じています。 大学で何をするかは自分次第です。自分の進むべき道を模索してみて下さい。※勤務先は取材時のもの青野 直仁さん 宮城県私立中学高等学校教諭(国語科) 河野 佳代子さん 埼玉県立高等学校教諭(芸術科 書道) 河野 貴彦さん 東京都私立中学高等学校教諭(国語科) 星野 はる菜さん 神奈川県私立中学高等学校教諭(国語科) 後呂 知美さん 埼玉県公立中学校教諭(英語科) 日本文学科 平成15年卒業 日本文学科 平成25年卒業 中国文学科 平成29年卒業中国文学科 令和2年卒業外国語文化学科 平成28年卒業43
元のページ ../index.html#45