國學院大學 文学部 令和8(2026)年度 入試ガイドブック
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のび他に侵されぬやう、心暢声優浅野 真澄さんジャーナリスト丸山 ゴンザレスさん作家岩下 尚史さん シンギュラリティの黎明期に、國學院への進學を検討なさる貴方は幸運です。 なぜと云つて、記紀萬葉以來の秀れた文章の厖大なデータが人口知能に入力されはじめたばかりなのですから。 遠からず、A1みづから近代以前の日本語に籠められた叡智すなはち「やまとごゝろ」を見出すことでせう。それは複雜多難な現實世界に應じて自分らしく、めの智慧にほかならず、これを學習したAIを使役して、世のために生かす將來有望な人材と云へば、國學者の遺緒を継ぐ國學院の學生に違ひないと信じます。 我が校の先達である三矢重松先生は、國學者の道は改進向上にあると説かれました。急速な國際化のなかで辺彊の閑文字になるかと危ぶまれた日本文學が、人口知能の發達によつて無二の力を發揮しやうとする僥倖にめぐりあつた世代の貴方を羨ましく思ひます。 さらに、めざましい再開発の途上にある澁谷の繁華街ちかくに校舎があることも幸運です。最先端の風俗文化に親しむことは、のちの人生にうるほひと奥行きを齎しますから。45史学科 平成13年卒業/大学院文学研究科 博士前期課程 平成15年修了 入学の動機は考古学を専攻することでした。考古学を学ぶことができる大学はいくつもありますが、伝統や実績、大学博物館(当時は資料館)に収蔵している資料を考えると國學院が良いなと思いました。故郷を離れて、いざ入学してみると師匠や先輩、同期との出会いによって濃密な研究室での日々を送ることができました。 紆余曲折あって考古学の世界で生きていくことは諦めましたが、それでも大学院まで専攻した考古学の思考法は、私のジャーナリストとしての取材手法の基礎になっています。 國學院で過ごした日々が間違いなく今の私を作っています。他のどこの大学でもなく、國學院だったからこそ今の自分があります。とはいえ、当時は後悔や挫折もいっぱいありました。実際、良い学校だったかどうかは在学中に結論づけられません。いつか振り返った時にそう思えるかどうかなのです。できることなら良い母校と思えるように、やりたいことを詰め込んだ濃密な大学生活を送ってみてください。文学部 昭和61年卒業やかに暮らすた日本文学科 平成12年卒業 なにもかもが珍しく、不慣れで、戸惑っているうちにどんどん過ぎていってしまう。それが私の、学生生活の印象でした。「人生で一番楽しい4年間だよ」「どんなことでもできるね」そう言われるたび人知れずプレッシャーを感じていました。受験生と社会人のはざま、突然与えられた期限付きの自由を、私は皆のように謳歌できるのか。その自信が持てなかったのです。 我が家は貧しく、奨学金を2種類もらいながらの学生生活でした。仕送りもなく、アルバイトに追われる毎日。そのことが恥ずかしく、同級生たちを眩しく思っていました。あのとき感じた劣等感、足りないものだらけの暮らし、貧しいからこその創意工夫。その経験一つひとつが私を作り上げたと、今ならわかります。精一杯考えて選択したことに失敗はなく、すべてが人生のステップなんだ、真剣に向き合うことこそが「謳歌」なんだと、学生時代の私に教えてあげたい。皆さんはどうか恐れず、思い切り味わい尽くしてください。様々な分野で活躍する卒業生

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