3文学部の学びは、一生役立つ。文学部長 谷口 雅博 國學院大學文学部は、「日本文化の研究を深化させるとともに、異文化との比較・相対化を通して、日本文化を世界へ創造的に発信することのできる人材を育成することを目的とする」という理念のもと、日本文学科・中国文学科・外国語文化学科・史学科・哲学科の五つの学科を設置しています。古代から現代に至る国内・国外の文学・語学・伝承・歴史学・考古学・哲学・美学・芸術学といった様々な分野の学問領域について、体系的に学べるようにカリキュラムが組まれています。文化史、精神史を学んで、今とこれからのあるべき姿を考え、日本を学んで海外に発信し、外国を知って日本を発見する、そういう学部です。 文学部を希望する方々にはいろいろな目的があると思います。教員・図書館司書・学芸員などの資格を取って、学校や図書館や博物館で働くことを希望する人、学問に本格的に取り組んで、大学院に進学して学び続けて、研究職を目指す人、外国語を学んで日本の文化を海外に発信するような仕事をしたいと考えている人など、様々な人が居ることでしょう。そうした目的に近づく努力をする方々を応援し、サポートしたいと考えています。 本学文学部の特質、強みは何かと言えば、一つには長い歴史・伝統があること、今ひとつには教員の質・量ともに充実していることを挙げることができるでしょう。 長い歴史・伝統を持つことが何故強みになるのかというと、その歴史の中で多くの先学による研究の積み重ねがあり、その結果、國學院ならではの学問が形成されてきたことにあります。ただし、それらの研究成果、いわば知の財産を、ただ食い潰していくのでは、未来はありません。蓄積された知の遺産を検証し、常に更新して行くことに意味があります。更新すべき対象が壁となって立ち塞がっている、乗り越えるべき壁があるという、それが伝統の持つ強みであるということです。 もう一つ、教員の質・量ですが、最初に述べたように文学部では様々な内容を学ぶことができます。そのそれぞれに対して専門の教員が居るということ、学生の皆さんが学びたい個々の分野の学問探究を導くことのできる専門家が居るということ、これは何よりの強みであると思います。 文学部の学生の皆さんには、教員と共に本学の知の蓄積を更新して行く役割を担うくらいの気持ちで学問に励んで欲しいと思っています。大事なのは、学ぶ方法を身につけることです。自ら調べ、考え、判断する方法を身につけることで、自分自身の核となる部分を見失わないようにする。文学部の学問は具体的に何に役立つのか、見えにくいところがあるかも知れませんが、人が生きる上で必要な精神の支えを学び、修得することができる、そういう学問です。
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