國學院大學文学部 日本文学科-ガイドブック-
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日本語学専攻『詞の玉緒』三転証歌『あゆひ抄』装図8るいは、古典の文学作品の中で使われている昔の日本語を思い浮かべる人もいるでしょう。それらはすべて日本語学の研究対象となります。日本語学は、古代から現代までのあらゆる日本語を研究対象として、音声・語彙・文法・意味・文字・文章・方言など、さまざまな観点から分析し、日本語の実態・歴史・規則を明らかにしていきます。 言葉って不思議なものです。例えば「か」に濁点が付きますが、「ま」には付きません。さらにハ行の仮名だけは濁点のほかに半濁点も付きます(「ぱ」のように)。なぜハ行だけにそのようなことが起きるのでしょう。また、「午前中」といえますが、「午後中」といえないのはなぜでしょう。親の兄弟は「おじ/おば」と男女で区別しますが、その子を表す語「いとこ」は男女の区別をもちません。「しないでいいよ/しなくていいよ」の「いいよ」を「ほしい」に変えると、「しないでほしい」と言えますが、「しなくてほしい」とは言えなくなります。なぜでしょう。「足す」と「加える」はどう違うのでしょう。音韻・語彙・文法・意味に関する問題の一例をあげましたが、これらの問いには日本語学の知見が答えを与えてくれます。ふだん空気のように使っている日本語についてのふとした疑問が日本語学の課題になるのです。 本学の日本語学専攻では、多彩な内容の講義・演習科目がありますので、日本語についての幅広い知識と技能を身につけることができます。1年次に「日本語学概説Ⅰ・Ⅱ」で日本語学の各分野を幅広く学修し、2年次では「日本語史Ⅰ・Ⅱ」で日本語の歴史、「日本語学講読Ⅰ・Ⅱ」で源氏物語の日本語を詳しく学修し、「日本語学演習Ⅰ」で実践的な研究を行います。3年次以降は専門的な研究を行う「日本語学演習Ⅱ・Ⅲ」「言語学演習」他多くの専門科目を中心に、卒業論文作成に向けて学問を深めていきます。これらの学修を通して、国語教師や研究者になる場合にはもちろん、企業に勤めて日本語で情報を発信する場合にも有益な知識と技能が得られることと思います。 日本語学は、日本語を研究する学問です。研究の対象となる日本語とは、どのような日本語だと思いますか? ふだん話している日本語を思い浮かべる人もいれば、新聞や小説に書かれている日本語を思い浮かべる人もいると思います。あ所属教員一覧植松 容子日本語教育小田  勝古典文法(共時)三井はるみ方言学・音声学諸星美智直日本語教育・近代語吉田 永弘古典文法(通時)概 要

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