﹁古典の読める國學院﹂の実現を目指して︑古典文学研究に重きを置いています︒桜姫清水詣(版本)小林秀雄「マチス展を見る」(自筆原稿)7 日本文学について深く知ること、しかも専門的な研究をしながら知っていくことは、グローバル化がますます進んでいる現在において、海外から求められる日本文化についての知識や知性に応える力を養うことともなります。日本文学を通じて日本文化を発信することは国際的な教養に必要でしょう。日本文学専攻は、日本語学専攻、伝承文学専攻とともに総合的な日本文化の発信地となっているのです。 まずは、好きな文学作品を見つけてください。有名作家だとか文豪だとかいう評価に惑わされないでください。古事記、万葉集、古今集、源氏、平家、西鶴、漱石でも、読み物として大変面白いものなのです。まずは、最初の数ページを読んでみて続いて読書できそうだったらその後へ進めるとか、徒然草の面白そうな章だけいくつか選ぶとか、また、古典作品なら音読してみるとか、いろいろな読み方を試みていいのです。そうしているうちに文学作品の表現の持っている特徴に気がつくはずです。こうなればもう中級レベルの読解に進んでいるのです。要は文学を楽しんでください。 日本文学演習(黄表紙)では、受講者が一人ずつ『金々先生栄花夢』ほかの諸作品にあたり、担当者が一人ずつ発表するという形式をとります。この個人発表という形式は、グループ発表と異なり、一人で研究を進めるので、打ち合わせの手間もかからない分、作業を気楽に進められます。しかしその一方で、全ての責任が自分にかかってくるので、意欲を持って臨まなければ、発表としての体裁を整えることすら難しいでしょう。 しかし、苦労に見合った分の達成感と成果が、発表を終えた後に残るのも確かです。黄表紙に限らず、あらゆるテクストは奥が深く、情熱を注げば注ぐほどさまざまな姿を見せてくれるものです。おそらくはそれが、一生ものの値打ちを持つことでしょう。
元のページ ../index.html#9