い以や家かげ陰いわ岩Kokugakuin UniversityDepartmentof History12群馬県吾妻郡長野原町居家以岩陰遺跡 考古学的な調査・研究の根幹となるのは、遺跡の発掘調査と発掘調査報告書の作成です。発掘調査とは、研究目的のために仮設を立て、発掘によってそれを検証する作業です。そして、発掘の結果あきらかになったデータを公にする必要がありますが、そのために発掘調査報告書という書籍を作成し、公開することが求められます。こうした発掘調査から発掘調査報告書の作成にいたる一連の調査方法を学ぶのが、ここで紹介する考古学調査法Ⅰ・Ⅱと考古学実習Ⅰ・Ⅱの各授業です。 考古学実習で現在調査の対象とする遺跡は2ヶ所です。 まず、先史考古学分野として縄文時代早期の岩陰遺跡でいある群馬県吾妻郡長野原町居担当)です。もうひとつが、歴史考古学分野として古墳時代後期の群集墳(同時多発的に古墳がつくられて群集したもの)である長野県安曇野市穂高古墳群F9号墳(青木敬教授担当)です。いずれの遺跡も毎年夏季休暇に現地に出かけ、発掘調査を実施しています。 居家以岩陰遺跡では、埋葬人骨が20個体以上出土しているほか、岩陰前の灰層から土器や石器、動植物の遺存体が出土するなど、縄文時代の社会や精神文化、縄文人の起源・系統がうかがえる貴重なデータが得られています。 いっぽうの穂高古墳群は、長野県下有数の群集墳で、このうち2009年からF9号墳を調査しています。石室から土器・武器・馬具・装身具などが数多く出土し、遺物からF9号墳は6世紀末頃につくられ、11世紀にいたるまで繰り返し利用された古墳であることがあきらかとなってきました。遺跡(谷口康浩教授縄文早期・約8300年前の埋葬人骨(成人女性)縄文学のパイオニア、小林達雄名誉教授を現地指導にお迎えする最新の測量技術で一つ一つ遺物の出土位置を記録する考古学調査法Ⅰ・Ⅱ考古学実習Ⅰ・Ⅱ本格的な発掘調査をとおして学べることは何か。□□□□□□
元のページ ../index.html#12