國學院大學文学部 ガイドブック 史学科
13/32

くつわ13長野県安曇野市穂高古墳群F9号墳 考古学調査法Ⅰでは、発掘調査に必要な技術の習得と、対象とする遺跡とその時代の先行研究を学び、来るべき発掘調査に備えます。夏季休暇中に実施する考古学実習Ⅰ・Ⅱは、現地で発掘調査に参加し、掘削や検出、遺構・遺物の記録を作成など、学生が意見を出し合いながら調査を進めていきます。期間は10日程度、同じ宿舎で寝食を共にしながら、発掘調査は朝から夕方、時には夜までおよぶことも少なくありません。宿舎に戻ってからも、夕食後に出土した遺物や作成した記録類の整理に追われ、期間中はまさに「発掘調査一色」の日々を過ごします。後期の考古学調査法Ⅱでは、発掘調査報告書を刊行するための各種の作業にとりくみます。 発掘調査報告書に必要な図面や写真図版を作成し、文章F9号墳の横穴式石室。内部から多数の遺物が出土した出土した馬具の一部(轡石室内からみつかった武器類と土器現地説明会には大勢の人が来跡する)Kokugakuin University Department of History □□□□□□の執筆から編集まで一貫して学生自らが主体的にかかわる例は、全国的にみても非常に珍しく、國學院大學の考古学コースを特徴づける教育のひとつです。毎年、「遺跡調査を経験してみたい」と志願して、考古学調査法Ⅰ・Ⅱや考古学実習Ⅰ・Ⅱを履修する考古学コース以外の学生も数多くいます。発掘調査・研究を職業にしたいと考えている学生はもちろんのこと、本当の仲間ができること、みんなでひとつの目的を達成すること、相手へ十分に意図が伝わるような日本語の文章を書くことなど、その後のキャリア形成にも重要な要素が詰まった考古学調査法と考古学実習の授業は有益な経験になるはずです。もちろん発掘調査報告書の作成まで、決して楽な道のりではありませんが、濃密でここでしか味わえない経験ができるでしょう。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る