概 要地域文化と景観 コース14・川名禎准教授文化景観各論Ⅰ・赤松加寿江准教授地域・景観調査法地域・景観調査の基礎となる絵図・古地図古地図・絵図を持って歴史を歩く地域がつくってきた文化・景観を読み解き、次世代へこの授業では、日本の地域や景観に残された歴史を探りながら、近世以降を対象とした歴史地理学研究を概観します。①近世における日本の地域(日本の東西、三都と藩領など)、②近世都市の景観と機能(城下町、宿場町、門前町など)、③近世・近代の村落景観(農山漁村、新田集落・開拓村)と交通(水運と鉄道)、などのテーマを通じて地域や景観の捉え方や見方を学び、歴史地理学的なものの考え方を習得します。古今東西の絵図や古地図には、文字史料では伝達できないさまざまな情報が、グラフィックに表現されています。そこには、過去の景観や場所に関する個別具体的な情報にとどまらず、過去の社会が共有していた地域や国土・世界のイメージが埋め込まれています。こうした情報を読み取るためには、絵図や古地図の表現のルールを正しく理解する必要があります。この講義では、多数の事例を用いて、絵図・古地図読解の方法をわかりやすく講述します。古代から近代までのヨーロッパの集落や都市景観の特徴を学び、その地域と時代固有の歴史と文化について知見を深めていく授業です。神殿、教会、市庁舎、劇場、住居といった建築物にくわえて、広場や路地や街路が作り出す空間・景観を対象に、それらを作り出した社会的、文化的環境を読み取る力を養います。図像や映像、図面や絵図から景観の特質を考察し、景観を作り出してきた社会や建物や環境を理解する力を習得します。や各種の地図・空中写真類に関する知識を深め、写真画像やデジタルマップのPC処理法の習得をめざします。後者で用いる地理情報システム(GIS)処理の習得は、学生の就職にとって利点となるスキルです。また、フィールドワーク実習をかねて、年2回の伝統的農作業体験(岩手県ー関市)を実施し、伝統的農村景観をつぶさに観察すると共に、地域住民との交流を通じて、保全のための実践に取り組みます。 人々のくらしは、風土と歴史に培われた「地域」のなかで営まれてきました。そこには風土に適合したくらしを維持してゆくための「文化的景観」が造りあげられ、さまざまな生活文化が育まれてきました。過去から現代に継承されてきたこれら「地域」の生活文化について、文字史料だけでなく、地名や景観、古地図・絵図、建築・石造物などの文化財や伝統芸能など、「地域」に根ざしたさまざまな歴史遺産の調査を通じて、その固有の価値を解明し、これらを次世代に継承してゆくための実践に取り組みます。 古地図・絵図に描かれた伝統的景観を復原する歴史地理学的な手法を基礎として、フィールド・ワークや各種の文化財・歴史遺産の調査を通じて、環境と生業活動との関わりや、地域に生きた人々の社会生活の諸相に迫るとき、一度失われると再生が困難な生態系や過去の生活文化の貴重さを体得することができるでしょう。主な授業地域文化と景観概論Ⅱ絵図古地図研究・三河雅弘兼任講師仲間と古地図を手に山中の古道を歩く。麓に街並みが見えたとき、なぜかほっとした。風景のなかに、歴史の息づかいを感じた日
元のページ ../index.html#14