□樹□太□部□矢□門□佐28□□髙□□橋□□藤□□長□□山□□﨑□□雅□□稔□□健□□郎□□秀□□吉□□岡□□□孝 高校までの「与えられた歴史」、ただ教科書の記述を覚えるだけの歴史とは異なり、大学で学ぶ歴史学はみずから「創り出す歴史」、教科書の記述すら疑うことからはじまる歴史です。つまりそれまでの通説を疑い、それを批判していくものなのですが、その批判は単なる思いつき、空想であってはなりません。歴史学が「学問」を標榜する以上、史資料にもとづいた合理的な根拠が必要になってくるのです。先行研究を鵜呑みにせず、史料にもとづいて批判する能力を養成することを目的として、3・4年次の演習では六国史の最後にあたる『日本三代実録』を取り上げ、学生と輪読をおこなっています。ぜひ一緒に、日本古代史を勉強してみませんか。 日本古代史は、日本がまだ倭と呼ばれていた時代から平安時代までの歴史を扱います。3〜12世紀の歴史です。授業演習では、史料の読み方を学びつつ、学説史や最新の研究にふれて日本古代史の理解を深めます。高校の日本史との違いは、自分で歴史を「発見」する点にあります。史書や古文書・木簡などの古代史料の多くは漢文で書かれています。最初は読むのに苦労しますが、少しずつ読めるようになると、新しい「発見」も増えていきます。それが皆さんの歴史研究の第一歩であり、歴史学の一番の面白さであり、熱くなれるところだと思います。 歴史学はこれまでの人間の歩みを様々な角度から明らかにして、私たちの未来を考える学問です。いま、歴史学には専門の知識とともに、広い視野で歴史を見渡す力が求められています。國學院には研究方法の異なる様々な時代・地域の講義が開講されています。それらを通じて、自分の知識を豊かにし、人類の経験を社会に還元するヒントを一緒に見つけてみませんか。 高校までの日本史の教科書では、「中世」は戦国時代で終わり、「近世」は織豊政権から始まります。実際、日本の大学の史学科でも、織豊期は「近世史」の分野として研究されることがほとんどです。しかし、織豊期を単純に「近世」とすることには、いくつかの問題があります。その最大の問題は、織豊期に続く江戸幕府が、その成立の正統性をアピールするため、特に豊臣期に関する歴史を「改竄」、すなわち書き換えていた点にある、と私は考えています。豊臣期を単純に「近世」と認識してしまうと、江戸幕府の「前史」、すなわち豊臣期の諸事象は江戸幕府にどのような影響を与えたのか、という消極的な検討に留まってしまう可能性もあります。豊臣期そのものを研究しようとすれば、「豊臣政権は中世末期に現れ、近世化を目指して挫折した」という見方が絶対的に必要なのです。そのため、國學院大學の史学科では、織豊期を「中世史」の分野として研究しています。この点は、他の大学にない大きな特徴といえるでしょう。 史学科に関心を持っている皆さんは、「歴史好き」かもしれません。でも、皆さんが親しんできたテレビ・アニメ・ゲームや小説が作り出す「歴史」の世界と、学問としての「史学(歴史学)」はちょっと違います。残された資料(史料)から歴史的事実と思われるものを紡ぎ出し、それをその時代の社会や大きな歴史の流れの中に位置づけていくのが歴史学です。中学校や高校で学んだ日本史や世界史は、歴史学の研究成果のエッセンス、しかも、ほんの一部分に過ぎません。歴史学では、史料から結論に至るまでの論証過程が重要になります。その方法を学問として学ぶ場が史学科なのです。ですから、皆さんが「面白い!」と思っていることが、学問としての歴史学にはなじまないこともありますし、逆に歴史学を学ぶ中で、新たな「面白い!」が見つかるかも知れません。 私は、中世前期(院政時代〜鎌倉時代)の貴族・武士の社会と政治、貴族の日記や鎌倉幕府の歴史書『吾妻鏡』などの史料について研究しています。ゼミでは、質の高い史料を正確に読んで解釈する力を身につけてもらおうと思っています。変化の大きい中世前期の歴史は面白いですよ。 私は江戸時代後期から幕末期、幕府の動向や地域社会を主に研究しています。したがってこの研究室には地域史や文化史・幕末の政治史などを学ぶ学生が多く集まります。私は八王子千人同心という幕末期に銃隊編成された江戸幕府の組織を調べていますが、千人同心だけ調べていても実態はわかりません。幕府の政治動向や地域社会の動き、千人同心に武術を教える家を継いだ近藤勇、千人同心と戦火を交えた長州藩のことなどさまざまな事象を調査してはじめて全体像を把握できます。「構想は大きく、実証は小さく」で、関係論文を広く精読し、大きく幕末史なら幕末史を構想し、確実な実証で論文をまとめることが肝要です。江戸時代は大量の古文書が作成された時代です。当然このような古文書を上手に使いこなすことが、実証をする秘訣です。しかし古文書は「くずし字」と呼ばれる難解な書体で記されている上に、現代社会では使用されない難しい語句や、文体(候文)で書かれ、その内容を把握することは容易ではありません。そのため江戸時代に作成された史料を講読し、卒業論文を作成するための史料を使いこなせる能力を涵養することが大切です。ゼミ・研究室紹介■ 日本古代史■ 日本古代史■ 日本中世史■ 日本中世史■ 日本近世史日本史学コース専任教員からのメッセージ
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