□美□田□太□手□部□江□実□□29□□塚□□口□□雄□□秀□□岩□□橋□□清□□柴□□紳□□一□□神□□長□□英□□輔□□川□□式 私は、江戸時代の中期から維新期までの地域文化史を中心に研究しています。とくに注目しているのは、村人たちが自らの村や地域の由緒や歴史を書いた史料です。こうした史料の多くには史実と異なる部分もあります。しかしながら、なぜ、このようなことを書き残さなければならなかったのかを考えてみると、新たな歴史像が見えてきます。また、村人たちは様々な書物を読み、国学者などの知識人と交流することで知識を深めていきました。そして、彼らの知識の蓄積は、地震や洪水といった自然災害や疫病、飢饉などから村を守ることにも寄与したのです。こうした村人たちの姿に私たちも学ぶところがあるのではないでしょうか。近世史研究の基本には史料調査があります。くずし字で書かれた古文書を解読することは容易ではありませんが、一つ一つ丁寧に読み解きながら、自分なりの歴史像を構築することは歴史研究の楽しさでもあります。歴史学を学ぶことによって、自分で課題を見つけ、それを解決していく力を身につけることができると思います。 國學院の史学科で、学生のみなさんは、数多くの出会い・発見をすることでしょう。図書や史料から教師・友人にいたるさまざまな出会い、はじめて知る多くのことがら、それらは日々の地道な積み重ねからする必然的なものと、わずかなきっかけからする偶然的なものと、いろいろあることでしょう。大切な4年間で、みなさんがそうした経験を少しでも多くできるよう、わたしも心がけてまいります。渋谷のキャンパスもすっかり立派にきれいにかわりました(30年前にわたしが卒業したころに比べて...)。それでもかわらないものがあります。それは、学生のみなさんの学び導かれたいという心と、教師・職員の教え導きたいという心です。この心と心の交流こそが「伝統」の大きな支えなのだと感じています。長く豊かな蓄積と、続く多くの後進との間にある学生のみなさんには、「縁」を大事にして出会い・発見を重ねることを望んでいます。 私は1920〜60年代の政治史について、政党を中心に研究しています。また、國學院大學がキャンパスを置く渋谷、あるいは東京近郊の地域がいかにして現在の姿になったのかについても関心があります。いずれにせよ、日本史学コースで最も現在に近い時代が専門分野です。 近現代史では、くずし字で書かれた史料以外にも、新聞・雑誌はじめ活字の史料が多数あります。対象とする時代が現在に近いほど史料の字は読みやすくなりますが、その一方で史料の量は膨大となります。卒業論文を執筆するなかでは、大量の史料、そして先行研究に向き合いながら、自分なりの視座を作り出すことが求められます。 大量の史料や研究を読むのは大変ですが、史料と史料を結ぶ新たな関係性を見出した時の爽快感など、史学科で学ぶ歴史だからこそ味わえるものもあります。少し苦しいかも知れませんが、一緒に史料の海に飛び込んでみませんか。4年間で得られるものは少なくないはずです。 私のゼミは、東アジアの近代史を中心に、中国・朝鮮古代史以外のアジアの歴史を扱っています。この地域の歴史は、四大文明の3つがあることからわかるように、非常に長く、多様です。なので、3・4年生になって各自の専門が固まってくると、自分の進めている研究テーマは自分にしかわからない、逆に友達の進めている研究は、同じゼミにいるはずなのに、報告を聞いてもよくわからないという珍現象が生まれます。そこで皆さんに期待するのは、自分のやりたいことは果たして何なのかを見つけだす探究心と、他人のやらないことを自分はやってやろうという勇気です。これまでは「友達がやるから自分も何となく」という心持ちだったかもしれません。しかし、史学科に入ってからの4年間では、「自分がこれから歩んでいく道はこの道だ」というものを見つけられるように頑張ってください。 私が研究の対象とする地域はロシア極東と日本列島の北辺です。私は近現代のこの地域の社会と文化の変化を広域の地域史の中で理解し、多様な歴史像を構築しようと試みています。 近現代は植民地主義の時代です。ロシアと日本はこの地を分割し、内なる植民地として支配し、近代世界システムに組み込みました。近現代のこの地域の歴史はロシア史、日本史、東北アジア史、ヨーロッパ史、環太平洋地域史の一部であり、こうした重層的な歴史の中から見えてくるものは多くあります。世界の諸地域や人間集団の関係の歴史、広域の地域の歴史、地域横断的な諸問題の歴史に関心のある皆さん、いっしょに学んでいきましょう。 中国の歴史社会が研究対象です。私は、中国の伝統社会において、祭祀儀礼を行うことが、社会秩序の維持や国家間の関係構築に、どのような役割を果たしてきたのかについて研究をしています。中国のような多民族・多言語・多人口の国で秩序を維持するためには、古来、法律・軍事・経済面だけではなく、精神面からの統制が必要でした。その役割を担ってきたのが儒学を背景とした「礼」や、道教・仏教などの宗教です。そこから生み出された様々な文化は、「漢文」を通じて周辺各地に伝わり、東は朝鮮だけでなく、海を越えて日本にも影響を与えてきました。 ゼミでは、準備も含め多くの時間を■ 日本近世史■ 日本近現代史■ 日本近現代史■ 東アジア国際政治史■ ロシア近現代史■ 東北アジア近現代史■ 中国古代史■ 中国中世史外国史学コース
元のページ ../index.html#29