國學院大學文学部 ガイドブック 史学科
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□木□名□子□保□久□江□寿□加30□□青□□大□□桂□□谷□□口□□康□□浩□□□敬□□川□□□禎□□赤□□松費やして「漢文史料」を読むことになりますが、眺めるだけではちんぷんかんぷんであった史料の裏に「史実」を見抜けるようになったとき、かつて存在した人や時間だけでなく、これまでの自分やこの先の自分の生き方も見えてくる、そんな体験を味わっていただきたいと思っています。 史学科で西洋近代史を志望する学生さんは、かなり大勢います。人気の秘密は、やりたいテーマを選ぶことができるからでしょう。私が担当するゼミ(演習)では、西洋近代史の研究入門書をもとに、各分野、時代の研究動向のなかから、自分が関心をもつテーマを選び、代表的な日本語の研究を読んで、その内容を口頭で報告し、レポートにまとめていただきます。自分がやりたいと思っているテーマは、どう研究すればよいのか、どのような史料があるのか、これによって理解できるからです。これを通じて、自分がやりたい対象を理解するには、欧文文献と原語史料を読む必要があると気づきます。ですからゼミの後半の時間では、英文の研究文献を読む練習をし、語学力のブラッシュ・アップをはかります。難しい英語でも読めるようにならなければ、研究できないからです。本格的な研究レベルに達するには、時間がかかりますが、それを実践して卒業論文に結実できるように、できるかぎり応援するのが私の仕事です。 私の専攻分野は先史考古学です。おもに縄文文化を研究しています。私が担当する考古学の授業には「講義」「実習」「演習」があります。「講義」では考古学の基礎知識や縄文時代の研究事例などを教えます。画像や実測図などの視覚教材をできるだけ使うように工夫しています。「実習」では土器や石器の見方、実測図の描き方などを学ぶとともに、縄文時代の遺跡を実際に発掘します。本物の遺物と遺跡で「考古学」を実体験するわけです。「演習」は研究法や論文の書き方を学ぶ場です。全員で論文を熟読し、要約と批評を繰り返すことで、考古学の方法論を訓練しています。4年生は卒業論文研究の中間発表をします。こうして4年間を過ごすうちに、学生さんたちは考古学専攻生としての意識と素養を身につけていきます。本に書かれたことを鵜呑みにする安直な姿勢ではなく、どうやって自分自身の論を組み立てるのかを真剣に考えている学生らしい姿をみるときが、いちばん嬉しいですね。「ずいぶん成長したな」と実感される瞬間です。 考古学とは、人間が生活を営んできた長い年月の中で遺してきた物質的資料を研究対象とします。私は、日本列島の歴史のなかで文字資料が残されている時代、とくに古墳時代・飛鳥時代・奈良時代・平安時代の遺跡を中心に研究を進めています。 自らは言葉を一言も発しない土器や石器、建物の跡、古墳など、これらがいつ・どこで・誰が・何のためにつくったのか解きあかしていくのが考古学の魅力です。ただ、考古学を単なる□解きで終わらせず、考古学からあきらかになった歴史を学ぶことが必要です。われわれが生きるこの社会が直面する問題を考えるための思考のひとつとして、歴史は大きな力になると思います。考古学を通して歴史を知り、歴史的思考を身につけていくこと、これが私のゼミにおける目標です。 ゼミでは日本列島の遺跡を学んでいきますが、古代の日本のありかたを考える上で避けて通れないのが、中国や朝鮮半島の歴史です。私は、みなさんとこれら東アジアの歴史も視野に入れた対話をするよう心がけています。 私は、城下町に代表される日本の近世都市について研究しております。東京をはじめとして日本の主要な都市には、近世城下町を起源とするものが多くみられます。そのため城下町を知ることは現在の日本の都市を理解する上でもとても重要なことだといえます。 私が専攻する歴史地理学という学問は、聞き馴染みのない方もあるかと思いますが、実は歴史の古い学問です。現在では地理学の一分野に位置づけられておりますが、過去の地域や空間の復原やその性質の究明、変遷のメカニズムなどの解明を目指しております。分析にあたっては絵図や古文書、古記録をはじめ、現地の景観観察を重視する点に特徴がありますが、必要があればいかなる資料も貪欲に活用していきます。そのため史学科で様々な史資料について学ぶことができる本学は、歴史地理学を学ぶ者にとってはとても良い環境だといえます。 史学科で学んだスキルを生かしつつ、地理学的な問題関心について学ぶことで、皆さん自身の研究を築いていって貰いたいと思います。 私の研究は、近世イタリアを中心とするヨーロッパの景観・都市空間から歴史を読み解くことです。土地固有の地形や自然環境に応じて、人間が作り上げてきた景観にはそこにしかないくらし、社会、空間の歴史が刻みこまれています。  私のゼミでは、こうした景観や地域文化のしくみをできるかぎり実証的に解明するため、文字史料、古地図、古絵図に加えて建築史料や実測調査を通じて、地域の特質を見出します。史料を多角的に組み合わせていく読解方法は、ヨーロッパだけでなく各地域に適■ 歴史考古学 ■ 古墳時代の考古学■ 西洋近世史・近代史■ イギリス近世史■ 先史考古学■ 縄文文化の研究■ 歴史地理学■ 近世都市空間の研究■ 建築史学■西欧の都市空間と景観地域文化と景観コース考古学コース

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