國學院大學文学部 哲学科 ガイドブック 2025年度版
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社会科目や副教科の授業で、教科書のコラムや先生が独自に話してくださる内容が好きでした。ほんの数分間で触れるだけだったテーマを、哲学科では本格的に学べるのだろう―そんな期待が、私が哲学科を選んだ理由の一つです。あれも知りたい、これも学びたいと興味の赴くままに授業を受けていると、初めは漠然としていた哲学の世界が次第に見えてきました。その世界は驚くほど広がりがあり、学ぶほどに新しい視点や、これまで知らなかった領域に出会うことができました。本当に楽しい世界です。哲学科は「哲学・倫理学」と「美学・芸術学」の2つのコースがありますが、選択したいコースに関係なく、さまざまな科目に触れてみることをお勧めします。知識や経験が重なることで、当初は思いもよらなかった分野に特別な関心が生まれるかもしれません。気になったことについて読書をしたり、博物館に行ったり、映画を見たりと、積極的にインプットをする。それから考えたことを友人と共有したり、授業で発表する機会をもらう中で、人と意見を交わして新たな視点や気づきを得る。その発見がまた次の行動につながる。こうしたサイクルの積み重ねが、哲学科での生活を充実させることになると思います。ここで大切なのは人と関わることです。3年生の今、人と対話をすることが、ひとりで考えをまとめる時間と同じくらい必要だと実感しています。哲学科に限りませんが、大学には、学生の興味に応えてくださる先生方や、刺激を与えてくれる同級生といった、人との貴重なつながりがあります。この豊かな環境の中で、自分自身の興味に真剣に向き合って考える、かけがえのない 4年間になることを願っております。受験生の頃、興味のあることが多くて出願する学科を凄く迷いました。本が好きで神話や伝説に興味があり、映画やドラマも好きなので芸術やサブカルチャーも気になり、民俗学や宗教、社会学や生物分野にも関心があり……その一つに哲学もありました。元々色々考えたり議論したりするのは嫌いではなく、浅い理解ですが生きるとか死ぬとか、そういうことを考えて追求していくというのは面白そうに思いました。ただ高校で倫理の授業を受けたわけでもなく、哲学についての知識はほぼゼロだったため専門的に学ぶとなると躊躇いもありました。そこから哲学科を選んだ理由は、思考して探究するという、どんな学問でも普遍的なことについて学ぶのは何にでも役立つだろうと思ったのと、哲学からでも芸術も文化も思想も学べると知ったからです。不安もありましたが今、入学してみてとても楽しいです。何も分からなかった自分でも哲学ならどこかで引っかかり、受け入れてくれました。最初は哲学というといわゆる西洋哲学や倫理学で、難しそうなイメージでした。しかし実際は幅広く多様で、非常に面白いものでした。美学や芸術学はもちろん、哲学の論理を使って社会問題など他の事柄を考えてみることもできます。今はその視点で、映画や映像表現、社会との関係性について研究しています。難しい内容もないわけではありませんが、結局は自分で思考して理解する、ということが重要ですからそこを鍛えればよく、またそれが面白く感じる内容ばかりです。たとえ自分ひとりでも物事について考え、それを深められる力が身についたと思います。ここで学んだことや体験したことは、自分の力に、これから私が人生を生きる中での助けになると思っています。もし私のように悩まれている方がいたら、思い切って この世界に踏み込んでみても良いのではないでしょうか。吉川 裕奈片平 茉莉花哲学科3年(美学・芸術学コース)哲学科3年(美学・芸術学コース)

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