國學院大學 法学部 令和8(2026)年度 ガイドブック
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じ司た田 法学部とは、何を学ぶところなのでしょうか? 「法律や政治についての知識に決まっているじゃないか」と思うかも知れません。実際、法学部には、数多くの法律や政治についての講義があり、さまざまな法律の条文や解釈、裁判所の判例、いろいろな国の政治や政策、歴史について学ぶことができます。しかし、よく考えてみると、そうして学んだ知識をそのまま使うことができる仕事、例えば法律職や公務員になるのは、法学部の学生のごく一部です。それでは、それ以外の仕事に就く人にとって、法学部での学びは無意味なのでしょうか? 法律や政治の学びの中心にあるのは、法律を「解釈」して複雑な現実に適用する方法や、対立する意見をまとめ上げて「政治的決定」を行う方法です。この「解釈」や「政治的決定」は、現実の対立の解決のために妥当な判断を下し、その判断の妥当性を他の人に説得的な形で示すことから成り立っています。つまり、法学部で学ぶのは、適切な結論を導く判断力とそれを説得的に説明し納得してもらう技法なのです。 私たちの世界は、考え方や価値観の異なる異質な「他者」から成り立っています。だから、現実が複雑になったり、意見が対立したりするのは必然です。そして、価値観の多様化と個人化が進行する現代では、こうした他者との異質性を理解した上で共存する方法を思考する能力は、ますます重要になりつつあります。法学部で身につけるのは、まさにこうした能力なのです。 このように考えてみると、法学部での学びは、おそらくあらゆる職業の人にとって必要なものであり、さらにいえば、仕事以外のさまざまな人間関係を作り上げていく上でも重要なものであることがわかると思います。そして、法律や政治を学ぶ過程で、自分とはまったく違う考え方や価値観を持つ人がいることを知り、その人たちと共存する方法を考えることによって、この社会の中でのみなさんの立場や果たすべき役割も、次第にわかってくるはずです。 このガイドブックには、このような考え方の下、私たち國學院大學法学部が用意した特色あるカリキュラムが詳しく紹介されています。今もっとも求められている能力を身につけて、社会に何かの形で貢献したいと考えているみなさんに、このガイドブックが導きの糸となることを期待しています。しん 真國學院大學法学部長 茢かり法学部長挨拶

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