國學院大學 入学案内 2026
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江戸のメディア・浮世絵とその「声」を聴く楽しみ。浮世絵から見る江戸の暮らしとは。数多の時代を超えた孔子の語る言葉とは。史料から世界をひもとく諸研究哲学科教授藤澤紫中国文学科准教授青木洋司※修養□徳性を磨き、人格を高めること。2500年前、紀元前500年頃の中国で活躍した孔子の言葉が、奈良時代から令和の現在まで時代を超えて読み継がれている大きな理由の一つには、「今も昔も変わらない「心」」を題材にしている点が挙げられます。孔子の語った言葉について、その解釈はさまざまです。例えば、孔子が川のほとりで、その流れるさまを見た際に、ある人は、川の流れに自らの老いや時が移ろう物悲しさを感じたと説明し、別のある人は、川が流れる水のエネルギーから絶えず修養※に努める大切さを感じたと説明しています。孔子の言葉は、時代や読み手によって異なる解釈や意味を携えながらも、今を生きる私たちに核心に迫る価値観を提示し続けてくれます。庶民文化の華と称される浮世絵は、一七  世紀後半の江戸で誕生しました。魅力的な男女の姿や最新の名所、四季を彩る花鳥画など、幅広い主題が特徴です。木版を用いた大量生産によって普及し、江戸の庶民生活に欠かせないメディアとなりました。蔦屋重三郎などの版元の企画のもと、喜多川歌麿や□飾北斎ら人気絵師が登場します。やがて浮世絵は海を渡り、「ジャポニスム」などの芸術運動も巻き起こします。現代の私たちがそこに描かれた暮らしを読み解くには、美術や歴史、文学などの知識の他、自身の発想が必要です。絵を読む楽しみを突き詰めたときに、はじめて、画中の人々の声が聴こえてきます。まさに時代を超えた知恵比べ、新たな発見や理解の瞬間に向けて、私たちは研究を続けています。030國學院大學博物館蔵 楊洲周延「江戸砂子年中行事 七夕之図」中国・上海の孔子□に立つ孔子像

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