1000年以上、歴史と伴走した「律令法」の変遷から学ぶ現代への視点とは。私たちの生活を支える、行政の動態を左右するものとは。法や政治の仕組みをひもとく諸研究法律学科教授稲垣浩法律学科教授長又高夫奈良時代に中国から伝わり、1000年以上も日本の国家公法となった「律令法」。中国から継受する際には、当時の日本社会に適応するように内容が改められました。「律令法」は、基本法を特別法で補っていく法制度です。例えば、公家が権力を持つ時代には公家法が、武士が台頭した時代には武家法が制定されたように、社会構造の変化や主権者の交替に合わせて、特別法が制定され、基本法である律令法との関係が維持されてきました。法が軽視される昨今、前近代の豊かな法文化について学ぶことには意味があるでしょう。特に、日本国憲法の改憲について論議されることが多いですが、立法や運用の問題についても、過去の日本人の叡智を活かす必要があるように感じています。私たちの考えや行動は、純粋に個人の意 るでしょう。この事実は、私たちの生活に大思のみで形成できるものではありません。例えば、家族の事情や友人関係を自然と考慮していたり、仕事であれば組織の考え方や同僚との関係などに左右されていたりすきく関わる行政においても共通します。その組織の状況や人の在り方によって、政治的な方針、そして私たちの生活が大きく変動し得るのです。歴史や時代背景・社会的課題の検討、データ分析など行政学は多角的に研究を進めています。組織の人事運用の実態分析や自治体で働く個人のライフヒストリーの聞き取りといったさまざまなアプローチをすることで光が当たり、明らかになる行政活動の動態があるのです。050
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