熊本大学の教養教育 肥後熊本学
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(350,699種: The Plant list, in present)以上の植物群が生育していることをご存日本の野山で自然に生えている野草、また春の七草や秋の七草として昔から知られて来た日本の薬草を観察し、時にはそれらの身近な植物を園芸店で購入し、庭先で育てて楽しんでいる植物ファンが私たちの身近には沢山いるかと思います。それらの野草・薬草を未知の有用植物として捉え観察することで、植物との新たな出会いと発見があります。しかし、良く観察すると其々の花に小さな特徴があるにも関わらず、それらの花を見てもすぐに名前がわからない、あるいは似たような植物との見分け方がわからないという場合が多々あります。ここで視点を大きく捉えて植物の多様性について考えてみます。地球には35万種知でしょうか。そして、何と熊本県はわが国に自生する約6千種の顕花植物のうち2,100種ほどが自生する植物の大変豊富な県なのです。自然が豊かで植物の種数が多いという事は、それだけ多様性が高い地域と考えられます。 我々のグループでは、熊本県内で昨年度より、地の拠点形成COC+の事業の一環として「薬草キャラバン」のフィールド講座に取り組んでいます。現在までに、熊本県上益城郡山都町、熊本県阿蘇郡南小国町、熊本県人吉市、熊本県球磨郡あさぎり町などで行っています。地元の方々と野山を歩き、地域に眠っている・食べられる・薬になる・民俗に根付いた有用植物(衣・食・住、そして薬用)を発見して地域を盛り立てようというイベントです。多くの参加者は、フキ、ゼンマイ、ワラビ、ゲンノショウコ、ドクダミ、ヨモギ、サルトリイバラなど知っている有用植物は数種類に限られるようです。しかしながら、水田や雑木林など一時間歩くだけで、200~300種類の植物と会うことができます。このような地域には、昔から我々の生活に密着した植物が非常に多く、我々の過去の調査から約6割が何らかの有用植物であるという結果も得ています。 身近な例として、表1に黒髪北キャンパス内で観察された有用植物の一部を紹介します。構内を数十分歩くだけでも、多くの有用植物を観察することができます。この中には虫刺されなど応急的に使うことができる薬用植物、山菜や果物として非常に優秀な食用植物も含まれます。有用植物を知ることで、これからの大学生活に大いに役立てることが予想されます。 はじめに 蕃滋園・伝統野菜・食の文化・本草学 渡邊 高志

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