熊本大学の教養教育 肥後熊本学
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図8-1褐色を呈する人吉のモール泉 図8-2人吉温泉水の比較(右側がモール泉) 4.自分にあった温泉入浴法を見つけよう!図9 水素イオン濃度(pH)と酸化還元電位(Eh) 入浴という行為は、体を温めたり冷やしたりする物理的変化で発生する生体反応を利用しています。これらは泉質に関わりなく一般適応症という括りで説明されている部分に相当し、温熱作用(HSP70の上昇、NK細胞の活性化)、静水圧作用、浮力作用、清浄作用、運動効果やリラックス効果が挙げられます。 泉質に依存するものとして、代表的な例として、高張性温泉、二酸化炭素泉や硫化水素泉が挙げられます。時々、高張性温泉のような高濃度の温泉成分が肌から浸透するとメディアで表現されていますが、皮膚は外界から体液を守る大事な防衛線であり、簡単に浸透することはないと考えられています。しかし、二酸化炭素や硫化水素は例外的存在で、皮膚から浸透して血管拡張作用があります。高張性温泉や硫酸塩泉は、皮膚表面で微細粒子を析出し、保温効果が認められ、新陳代謝に一役買っているとみなされています。 火口周辺地域を除いて一般的に温泉は、地下の還元的状況で生産されることが多いため、

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