熊本大学の教養教育 肥後熊本学
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害する薬剤を開発する研究を行い,ウイルスのプロテアーゼに対する強力な阻害剤であるダルナビルの開発に成功した。2006年以降この薬剤は現在全世界で使用され,AZTをはじめとした種々の薬剤を併用することにより,現在ではHIVはコントロール可能な感染症として,死亡者は激減している。満屋氏は,彼がライセンスを有するこれらの薬剤を適正な価格で販売するよう製薬会社に求めており,ダルナビルに関しては開発途上国では特許料を支払わずに使用できるようになっている。このように満屋氏はHIV治療の世界のさきがけであり,さらには現在もHIV治療薬の最先端をリードして,世界中の多くのHIV感染者を救っている。文献 日本放送出版協会,平成14年9月1.NHKプロジェクトX制作班:プロジェクトX 挑戦者たち14 ゼロからの出発2.高月清:血液学の進歩 –症例から研究へ− 南江堂,1996年2月3.Takatsuki K: Discovery of adult T-cell leukemia. Retrovirology 2:16. doi:10.1186/1742-4690-2-164.堀田佳男:エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 文春文庫,2015年9月

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