染色体には様々なRNAが結合している染色体RNA染色体RNA植物の葉は多様なサイズの細胞によって構成されている植物の茎頂部と、GFPでマーク した幹細胞集団。植物の根に感染するネコブセンチュウ胞子から発芽したばかりのヒメツリガネゴケ。右は葉緑体分裂が異常になったミュータントで葉緑体が巨大化している幹細胞形成期の植物胚を立体的に捉えた画像(左)と幹細胞マーカーの発現(右)。ほんの一握りの幹細胞(青い部分)が植物体の地上部のほとんどを作りだす。アツモリソウ(ラン科)の花。 ふくろ状の花弁はハチをだまして受粉させるための“落としワナ”生物のサイズ決定メカニズム 私たちが生きる世界には、目に見えない程の小型生物から数100メートルを超える巨大な生物まで、多種多様な大きさを持つ生物が存在します。私たちは生物の大きさを決めるメカニズムを理解するため、植物の器官や細胞の大きさを決める遺伝子の探索や、その動作原理の解明を目指した研究を行っています。さらに、研究成果を応用して作物の生産性を向上する方法の開発を目指した研究にも挑戦しています。植物形態形成と動植物共生の分子機構 植物では幹細胞集団である分裂組織が死ぬまで維持され、一生を通じて器官分化を繰り返します。本研究室では、 この分裂組織の活性制御を行うペプチドホルモンの分子機構の解析を行っていま す。一方、農業被害を与える線虫が植物に感染するときに、 その植物幹細胞活性制御シグナルを乗っ取って利用することもわかってきており、農業面への応用研究も行っています。RNAが関与する細胞内制御 近年、タンパク質をコードしないノンコーディングRNAと呼ばれるRNA群が注目されています。こうしたRNAの中には、それ自体が様々な生体内での制御機構に関わる機能を持つものが存在します。ノンコーディングRNAの持つ機能とそのメカニズムについて、細胞が分裂する際の染色体に結合するRNA群の解析を一例にして、明らかにすることを目指しています。植物の系統分類と生物地理 世界中に分布する多様な植物はどのようにして今のような分布や多様性を持つようになったのか?東アジアと北米大陸、北米大陸と南米大陸という隔離分布は昔の広い分布域の名残なのか、 連続的に移動した結果なのか、それとも長距離分布なのか?そのような歴史的背景を、主にDNAを用いた分子系統学的方法で解析していきます。植物のオルガネラと形態形成 植物細胞は、光合成を行う細胞小器官(オルガネラ)である葉緑体を持ちます。コケ植物ヒメツリガネゴケや双子葉植物シロイヌナズナ等を用いて、細胞内で葉緑体が分裂 ・ 増殖する機構について分子生物学的・逆遺伝学的・形態学的手法で調べています。バイオイメージングと画像解析 「生命を可視的に捉える」研究を行っています。具体的には、蛍光イメージングによって生きた植物細胞内での細胞骨格や膜小胞などのダイ気孔を形づくる孔辺細胞のアクチン繊維ナミックな振舞いを可視化します。また、取得画像を客観的・定量的に解析するための技術開発にも取り組んでいます。植物の成長と幹細胞 植物は一生を通じて葉や茎、花といった様々な器官を自分のからだの先端に付け加えることで成長を続け、中にはその高さが数10メートルにも達するものもあります。私たちは植物の成長の原動力である幹細胞に注目して、その形成と維持のしくみを調べています。助け合い、だましあう:花と虫のかけひき 花の “かたち” 等に隠された謎を 「虫の視点」 で探り、 昆虫の “訪花活 動”等が持つ意味を 「花の受粉という観点 」から見直すことで、「花と昆虫との共生関係」 について研究しています。また、絶滅が心配されているラン科植物の繁殖生態に関する野外調査なども行なっています。生物学コース 研究の紹介
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