出せたあと、文化庁の事業で「日皆か?それは蚕の繭から紡がれる研究テーマ研究テーマ1 本のマンガがどこに何がいくつあるか」を調べて公開するという無茶な仕事をしました。国立国会図書館の地下書庫に5年籠ったり、日本各地のマンガ所蔵館を訪ねたり、マンガの所蔵管理データベースシステムを1から設計したり。そしてマンガのアーカイブというのは図書館資料であり、博物館資料であり、文学館資料であり、デジタル資料であり、、膨大にあるマンガを、どう見取り図をつくり収集管理していくか、あまりの物量に現在進行形で難題が山積みで、必死にもがきつつも実務家としてミッションをこなしてきました。そんなことを経験していると、いつのまにか「誰も見たことがない景色」に出くわのような協業のしくみは、中国では見られませんでした。また、中国の文学作品には、農民が桑の葉市場で桑の葉を購入する場面がたびたび描かれます。これは、桑を育てる人と蚕を飼う人が分かれていたことを示しており、日本のように一家で完結する養蚕の在り方とは大きく異なります。このような違いの背景には、同じ東アジアにありながらも、社会の発展の相違が深く関係しています。そして、こうした歴史的な違いは、いまの中国人の行動様式やビジネス文化にもつながっています。こうした視点から中国を学ぶことで、今の中国がなぜそうなのかがより深く理解できるようになります。そしてそれは、単なる異文化理解にとどまらず、日本社会を見つめ直す貴重な手がかりともなるのです。東アジア言語文化学コース(中国語中国文学)楊 纓 准教授現代文化資源学コース池川 佳宏 准教授 中国近代経済の形成と流通構造の変容さんは、生糸という言葉をご存じでしょう絹の糸であり、日本と中国の近代化を支えた重要な商品だったのです。私は近代中国の生糸貿易について研究していますが、これは単なる経済の話ではありません。生糸貿易の裏には、中国社会のしくみや人々の行動様式がどのように関わっていたのか、そうした点に注目しています。興味深いのは、日本と中国で、生糸の生産や流通のあり方が大きく異なっていた点です。日本では、養蚕農家が協力して製糸結社をつくり、横浜まで共同で生糸を出荷していました。これに対して中国では、各農家がそれぞれ地元の商人に糸を売り、その商人が荷主として上海の売込商と取引していました。日本マンガの単行本や雑誌のアーカイブ版社で編集者としてキャリアをスタートさり、また幕の内弁当のようにさまします。その一方で、細かな支流ように豊かな「雑誌」文化についくか、どう保存していくか。ずっと東 アジア 言 語 文 化 学 コース生糸が語る日中文化の物語現 代 文 化 資 源 学 コース豊かな雑 誌 文 化 の 調 査と保 存37 38すことがあります。その風景を伝えよう、と論文を書いたり発表したりトークライブをしたり。そうこうしているうちに大学という森に迷い込んだというのが正直なところですね。 私は特に「雑誌」文化について興味があります。1冊の雑誌はその時代を映すパッケージであざまな栄養を受け手に与えます。そして刊行を重ねるうち、作り手と受け手の相互作用で雑誌は大きな河となりうねりを生み出は多様な生命をはぐくみ、肥沃な土壌をつくっていきます。このて、どう全体像を明らかにしていそんなことばかり考えています。
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