坂井康太郎 松永佐伯泰知拓馬荒木優太郎田中奎伍まつながたいちさえきたくまあらきゆうたろうさかいこうたろうたなかけいご博士後期課程1年学部での専攻・3年次より数学博士前期課程2年学部での専攻・3年次より物理博士前期課程1年学部での専攻・3年次より化学博士前期課程1年学部での専攻・3年次より生物博士前期課程1年学部での専攻・2年次より地球環境科学(JRF制度採択による)解く、見る、作る…数学にはいろんな「味わい方」がある自然現象を数式で表す面白さ。未来の半導体材料を研究似ているのに逆の作用も…面白い有機化合物の世界なぜ土砂災害が発生したのか。地質や地形との関わりに注目メスがオスに…メダカの性転換メカニズムの解明に挑む「科学をもっと極めたい」。そんな思いで進学した学生のメッセージをご紹介します。学部を卒業後の選択肢の一つ、大学院進学。熊本大学理学部の卒業生の過半数は博士前期課程へ進学しています。 数学というと、問題を「解く」というイメージがあると思いますが、実はいろんな「味わい方」があるんです。数学の歴史を研究したり、物理学などほかの分野との関連を調べたり、体系の美しさを見たり、理論を作ったり…。大学院に進んで、数学の味わい方や楽しみ方が増えたと感じます。 大学院に進む予定ではなかったのですが、「この先生のもとでもっと研究したい」と思う先生との出会いがあり、進学しました。先生は学生を「一数学人」として扱ってくださいます。そんな先生と数学をめぐるキャッチボールのようなやり取りが楽しいです。 実は高校時代、数学は得意な方ではありませんでした。数学は時間がかかる学問だと感じます。でも、あきらめず時間をかけて取り組めば「腑に落ちる」時が来ます。今後も数学に関する研究を続け、数学の味わい方を多くの人に伝えていきたいと思っています。 高校時代、自然科学部に所属し、部活動で物理学の研究をしていました。自然の現象を数式で表せるところが、物理学の面白いところです。実験で失敗することもありますが、その要因を調べると、思いがけない発見につながることもあります。 現在私は従来の半導体に代わる「2次元材料」の研究をしています。半導体デバイスには主にシリコンが使われてきましたが、シリコンを使ったデバイスの微細化には限界があります。そこで注目されているのが2次元材料です。一般的な物質と比べ2次元材料は原子数個分の厚さしか持たないためとても薄く、微細化できるメリットがあります。2次元材料には特有の性質もあるので、新たな製品として使える可能性があります。研究している材料が世の中で使われるようになるとうれしいです。将来は半導体業界で研究職になれたらと思っています。 世の中にあふれている有機化合物は、私たちの衣食住を支えるとても身近なものです。そんな有機化合物に興味を持ち、有機化学の研究室に入りました。 研究対象に選んだのは、キラル化合物。これには、右手と左手の関係のように互いに重ね合わせることができない鏡像異性体が存在します。例えば右手型の化合物は薬になるのに、左手型の化合物は毒になってしまうこともあります。似ているのに全く違う性質を持つことがあるキラル化合物の世界はとても面白いです。現在、目的のキラル化合物を作るために、その手助けをするキラル触媒の開発を目指しています。とても挑戦的な課題ですが、その解決に向けて日々一喜一憂しながら研究に打ち込んでいます。 高校時代、化学の授業は楽しかったです。自分が楽しいと思う分野を進路先に選びました。楽しいことにはモチベーションも上がります。将来は化学の力で人の役に立てる仕事に就きたいと思っています。 2023年、九州北部を中心に記録的な大雨が降り、広い範囲で土砂崩れが発生しました。大分県日田市で起きた土砂崩れに注目して、そのメカニズムを研究しています。降った雨の量と合わせて、その土地の地質や地形、植生がどのように関わったのかを突き止めたい。土砂崩れが起こる確率が高いと分かれば、早めの避難につなげることができます。 もともと地形を調べるのが好きです。今まで見た地形で一番印象に残っているのは阿蘇。雄大できれいな景色がどんなメカニズムで形成されたのかを知ると、景色を何倍も楽しむことができます。研究室の中にいるだけでなく、現場を見ることも重要です。泊まりがけで行くこともあり、研究室の仲間との絆も深まります。 地質や地形の研究を生かして、人びとの安全な暮らしにつながる仕事に就きたいと思っています。 メダカの環境依存的な性転換メカニズムの解明に向けた研究をしています。XX染色体はメス、XY染色体はオスですが、高温など環境ストレスを受けると、メスがオスの機能を持つことがあります。この研究で性の原点が見えてくるのではと思っています。 幼いころから生きものが好きでした。生きものの不思議に迫る研究は、想像していたよりはるかに楽しく、学べば学ぶほど面白いです。ただ、実験は失敗が当たり前の世界。予想と違う方向に進むこともありますが、そこから新たな発見もあります。 将来は水産業で研究をしたいと思っています。例えばヒラメやウナギはメスの方が肉厚でおいしいとされていますし、トラフグは白子のあるオスの方が商品価値は高い。性別によって商品価値が違うため、性をコントロールする研究を養殖業に応用し、水産業の発展に貢献したいと思っています。大学院生メッセージ科学をもっと極めたいそんな思いに応える、さらなる探求の道
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