高知工科大学 2023
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液晶を応用することで、新しい機械の創出。液晶は固体と液体の間の状態であり、液体と固体の両方の性質をもちます。最も身近にある液晶製品は液晶ディスプレイですが、本研究室では液晶を応用した機械の創出を行っています。例えば、モータの駆動源に液晶を利用することで、直径0.1mmのマイクロモータを実現しました。さらには、細くて曲がりくねった所に、アメーバのように変形しながら物を運ぶことができる駆動装置の開発にも着手しています。これらは医療やマイクロマシンなど幅広い応用が期待できます。人のダイナミクスの詳細な計測と医療分野への応用。動く物体の力学解析のためには力と変位の計測が必要であり、一般的には力センサ、光学センサなどを複合して計測します。計測の重要性は、自動車や航空機のみならず人間の解析でも同じですが、人の計測は難しく高齢者・患者・スポーツ選手などの解析がこれまでは不十分でした。当研究室では、フォースプレート計測から姿勢を推定するシステムを開発し、1mm以下の微小な姿勢の変化や関節力を推定することに成功しました。現在は、立位姿勢の計測から身体の不調を判定するシステムを整形外科や耳鼻科の医師と一緒に開発しています。動的デザイン研究室 園部 元康 准教授受け入れ可能な専攻知能機械工学/航空宇宙工学/エネルギー工学高知県立高知追手前高等学校出身例えばこんな講義があります23School of Systems Engineering学士課程1では、車輪型・歩行型とマニピュレータを対象とし、機構、力学、計測、知的制御に関する基礎知識を身につけます。実応用として、掃除・福祉介護ロボットなどを紹介します。2では、二輪独立駆動型移動・三輪オムニホイール型全方向移動ロボットを実例として、移動ロボットの運動制御に関する理論と技術について学習します。学士課程人工知能AIは、高速処理能力をもっているが、融通性においては人間に及ばないコンピュータを“偉大なる知恵者”に変えようとするものです。本講義では、人工知能の基本概念の導入とニューロコンピュータの基礎を知り、車の自律走行や知能ロボットを実現するための基礎知識を習得することを目的とします。大学院修士課程より高度な制御システムの構築のために、ロバスト制御と2自由度制御系を理解し、それらを用いたコントローラを設計できることを目標とします。ロバスト制御では、周波数応答に基づいたシステムの不確かさを考えるとともに、周波数的にシステムの性能向上を行える補償方法としてH∞制御を用いた設計法を学習します。2自由度制御では、フィードフォワードとフィードバックの両方を用いることにより、システム応答を自由に設定可能な設計法について学習します。原材料の味や色合い、香りが引き立つ凍結濃縮法の工程中の製氷能力に関する研究に取り組みました。 機械的な知識に加えて化学的な領域も勉強できるところに惹かれて松本先生(松本 泰典准教授)の研究室に所属しました。取り組んだのは、果汁など液体食品の凍結濃縮法。食品が冷凍される過程で、食品の水分と物質が分離し、濃度が高まる現象を利用した濃縮法です。液状食品の濃縮法には、市販の濃縮還元ジュースなどに使われている加熱蒸発法やフィルタを使用して水分を除く膜濃縮法がありますが、低温状態で濃縮する凍結濃縮法は、味や色、香りなどがよく残り品質が良いとされています。ただ、工程が複雑で、導入の際の初期費用が高くつくなど、商業ベースでの稼働にはまだまだ改善の余地があります。様々な研究課題の中で、取り組んでいるのが製氷量や製氷時間などの製氷能力の試算です。濃縮する食品は種類によって含まれる成分が異なるので、製氷能力の予測が難しいことが課題となっています。そのために熱伝導率から製氷能力を試算する手法について研究しています。将来の展開 機械技術者の活躍するフィールドは、広範囲にわたります。しっかりとした機械工学の基礎専門力に加え、システムのインテリジェント化に不可欠な応用技術を身につけたエンジニアとして力を発揮することが可能です。高度機械技術で社会に貢献できる人材として、自動車や設備機械、精密機器などの製造業はもちろん、工学全般の幅広い分野で活躍が期待されます。先輩の活躍学士課程学士課程ロボット工学1、2人工知能システム制御工学特論大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程大学院工学研研究科 基盤工学専攻修士課程大研究室REPORT流体工学研究室 辻 知宏 教授受け入れ可能な専攻知能機械工学/航空宇宙工学/エネルギー工学次世代における高度に知能化されたものづくり技術で社会に貢献する学ぶ意義 機械システムのさらなる「知能化」「情報化」が進む中、人と環境に優しいシステム開発が今まさに求められています。このような時代の要請に応え得る新しい機械工学においては、機械技術にメカトロニクスやコンピュータ応用の技術を組み合わせた「融合された技術」が重要です。ものづくり技術を駆使し、社会に貢献できる次世代の技術者が育つことをめざした教育を行います。修士課程では、さらにメカトロニクスなどの分野の専門力を伸ばし、工学諸問題を実際に解決していく力を身につける教育を行います。知能機械工学専攻知能機械工学コース

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