高知工科大学 2023
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筋肉・神経の機能をもつ生物のような新素材を航空機や自動車に活用する。生物は、痛みや熱さを感じ、怪我を治し、自ら変形するような、現在機械に用いられている素材と比べてはるかに高い機能をもつ素材で出来ています。しかし、生物の素材の強度は機械に使う材料に比べるとはるかに及びません。そこで当研究室では、自ら変形する圧電材料や人工神経である光ファイバーを材料に組み込むことで、航空機や自動車に用いることが可能な強度をもち、さらに生物のような機能をもつ新素材の開発を行っています。また、産学官連携の共同研究を通じて、その実用化をめざした研究を行っています。航空機の「飛び方」と「飛ばし方」の研究を通して社会の課題に挑戦する。日本の航空交通システムのあるべき姿を追求すべく航空交通管理の研究を行っています。すべての航空機が安全に効率よく飛行できるシステムの実現が目標です。また飛行支援システムや小型無人航空機の研究開発も行っています。航空機の飛び方を理解し、飛ばし方を提案するには数学や力学、制御などを基礎とする解析技術と実学的な知識の両方が必要です。本研究室では実運航データやシミュレータ、小型実験機などを用いて論理的思考力と実際の問題への応用力を磨き、社会の抱える課題の解決を通して航空科学技術の発展に貢献することをめざします。青景 壮真さん広島県立安古市高等学校出身機械・航空システム制御研究室 原田 明徳 准教授受け入れ可能な専攻航空宇宙工学/知能機械工学/エネルギー工学例えばこんな講義があります24KUT WAY 2023学士課程航空機は特に遠隔地への移動に不可欠で日常生活で身近なものとなり、国産旅客機の量産も始まろうとしています。この講義では航空機が飛行するために必要な揚力発生、推力発生等の基本的な原理等について学びます。学士課程軽構造の代表である航空機構造の設計に必要な基礎知識を学び、航空機の概念設計・構造設計の手法についても学びます。また、主として薄肉構造(モノコック構造)が用いられますが、そのような構造に曲げやねじりが加わる時に生じる応力の計算方法を学びます。大学院修士課程大学院で宇宙理工学に関わる学生に対し、研究推進のための基礎的素養を拡充するとともに、英文記載の論文から情報を調べ議論することで、宇宙分野で実践される最先端研究とその技術応用、さらに今後の発展や見通しを理解し考察する機会とします。極超音速旅客機で発生する乱流の原因や発生場所の特定に取り組み、研究結果を国際学会で発表しました。 野﨑・荻野先生(野﨑 理教授・荻野 要介講師)の航空エンジン超音速流研究室に早期配属で参加し、荻野先生の指導のもと、流体の運動に関する方程式をコンピュータで解くことによって流れを観察する手法「数値流体力学」による流体の可視化について研究しています。「流れ」の状態には、流れ方向に向かって規則正しく流れる「層流」と、様々な方向に不規則に流れる「乱流」があります。現在開発中のマッハ5〜6で飛行する極超音速旅客機ではどうしても乱流が起こるのですが、乱流によって振動が激しくなるとともに機体に異常な加熱が発生してしまいます。一体なぜ乱流が発生するのか、また発生する場所の特定を自分自身の研究テーマとして取り組んでいます。今までの研究結果は機械学会や数値流体力学会など数々の公式の場や国際学会 ICFDでも発表できました。大学院修了後は、自動車メーカー、マツダ(株)に技術職で就職が決まっています。今までの「流れ」の研究を応用できるような仕事ができればと思っています。将来の展開 本専攻では、4力制御(流体力学、材料力学、機械力学、熱力学、制御工学)を基本に、航空工学や宇宙探査工学など航空宇宙工学に関する深い専門知識と技術を身につけます。修士課程では、学士で学んだ基礎知識を発展させ、高度で最先端の専門知識を習得し、研究活動、学会活動等を通じて課題設定能力、問題解決能力、論理的思考能力等を養います。将来は、航空機やロケット、航空宇宙機器関連の開発・設計を行う技術職や研究職のみならず、幅広く機械・電子分野の業界で、システムや各種要素の研究開発、設計等ものづくりに貢献できる職種に就くことが期待されます。先輩の活躍学士課程航空工学1、2航空機構造工学宇宙工学特論大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程大研究室REPORT先端機械・航空材料工学研究室 高坂 達郎 准教授受け入れ可能な専攻航空宇宙工学/知能機械工学/エネルギー工学絶対的な安全性・信頼性が求められる航空機や宇宙機器の設計・開発を学ぶ学ぶ意義 近年、最新鋭の航空機の開発に日本の機体メーカーやエンジンメーカーが関わるようになり、世界の航空工業界における日本の立ち位置はますます重要になっています。また日本の宇宙開発の世界での立場を向上させるH3新型基幹ロケットの開発や、小惑星探査機による惑星形成の起源や生命誕生の起源の秘密に迫る調査など、まさに熱い眼差しが向けられています。このように日本の航空宇宙工学分野は世界最高レベルの技術を維持しながら、さらなる研究開発に挑戦し続けています。航空宇宙工学専攻航空宇宙工学コース

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