高知工科大学 2023
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フレキシブル太陽電池やセンサー応用に向けた半導体薄膜技術ガラスのように透明で電気を流す薄膜は”透明導電膜”と呼ばれ、エネルギー問題を解決するうえで重要な太陽電池や照明、スマートフォンなど、身近なデバイスには欠かせない部材です。例えば、今後の発展が期待されるフレキシブルな基材上で、透明導電膜の性能をいかに高めるか?フレキシブル性に由来する新しいセンサー機能を創出できないか?など、世界最先端の技術も駆使しながら材料の性質を理解し、環境に優しい安心で安全な半導体薄膜の研究に取り組んでいます。森本 雅也さん香川県立志度高等学校出身機能性薄膜工学研究室 牧野 久雄 教授受け入れ可能な専攻エネルギー工学/電子・光工学25School of Systems Engineeringナノスケール材料(ナノ材料)がもつサイズと構造に起因する優れた電子・光物性は、太陽電池、二次電池などエネルギー分野での応用が期待されています。私たちの研究室では、カーボンナノチューブやグラフェンをはじめとするナノ材料を、光波長サイズの光アンテナに加工することで、新しい光機能を引き出すメタマテリアルの研究を行っています。ナノ材料を回路に組み込んだメタマテリアルを設計し、高効率のエネルギーデバイスへ応用開発することで、地域と世界のエネルギー諸問題の解決をめざす大きなテーマに取り組みます。学士課程エネルギーは日常生活や社会・経済活動などのあらゆる場面で利用されており、すべての工学分野に何らかの形でエネルギーが関与しています。工学の学問の基盤としてエネルギーの基礎を学ぶとともに、タービン、水力発電など熱・運動エネルギーの効率的なエネルギー変換の事例を学びます。学士課程エネルギーの基礎概念として、エネルギーの形態や、再生可能エネルギーを含むエネルギー資源とその資源を活用するシステムについて学習します。さらに、エネルギー問題と密接に関連する地球環境問題についての現状と将来についても学びます。大学院修士課程プラズマは物質の第4の状態とも呼ばれ、また宇宙の物質の99%はプラズマ状態であるといわれています。未来のエネルギー資源と期待されるプラズマ核融合研究から現代の産業を支えるプラズマ処理技術まで、プラズマの基礎と工業的応用、気体放電によるプラズマ生成と制御を学びます。環境や景観面でも優れた透明感のある太陽電池の性能向上に取り組んでいます。 東日本大震災での原発事故をきっかけに新エネルギーに興味をもつようになりました。現在実用化されているほとんどの太陽光発電は、黒色のシリコンを使用した太陽電池によるもので、メガソーラーと呼ばれる大規模な発電施設は施設建設のため森林が伐採されるなど環境面や景観面での問題があります。そこで、この問題を解消できる色素増感太陽電池の研究をテーマにしました。色素増感太陽電池は赤色などが薄くついた透明な薄膜の太陽電池なので、例えばビルや住宅の窓ガラス面を発電パネルに使えるなど、環境や景観への悪影響もありません。ただ、現在使用されている材料(酸化チタンなど)では起電効率がシリコン太陽電池に比べ劣ります。そこで電子励起に必要な色素を多く吸着する棒状のナノ構造をつくれる酸化亜鉛に着目、エネルギー問題の解消に向けて次世代太陽電池の開発に取り組んでいます。学ぶ意義 世界規模での長期的なエネルギー資源枯渇問題や資源に乏しい日本のエネルギー確保に対し、エネルギー技術開発者や、省エネ技術の開発者など、直接エネルギー問題の解決にあたる人材だけでなく、あらゆる工学領域においてエネルギーリテラシーの高い技術者の育成が求められています。本専攻では、幅広くエネルギー技術を学び、次世代エネルギーシステムの構築、およびエネルギーマネジメント分野で活躍する技術者の輩出をめざします。修士課程では、学士課程で学んだシステム工学の基盤的知識をもとに、エネルギーの関わる学問知識をより深く学び、将来の課題発見と課題解決提案が行える基礎力を身につけます。例えばこんな講義があります将来の展開 再生可能エネルギー、電気自動車、持続可能社会実現など、エネルギーの関わる技術や課題は、人類の必須の課題であり、その解決には、経済、環境、政策、ライフスタイルまで含めた幅広い複合分野の理解と考察が必要です。これらエネルギーリテラシーの高い技術者への期待は、「ものづくり」をはじめあらゆる技術領域で日増しに高まっています。インフラ、プラント、重電・電力業界をはじめ幅広い領域で、本専攻・大学院修士課程で学んだエネルギー関連の専門知識と活動を発展させ、活躍することが期待されます。先輩の活躍学士課程学士課程熱・流体機関エネルギー資源工学プラズマ工学特論大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程大「システム」の視点から幅広いエネルギー技術を開拓研究室REPORT先進エネルギーナノ材料研究室 古田 寛 教授受け入れ可能な専攻エネルギー工学/電子・光工学/航空宇宙工学形状とサイズを制御したナノ構造に現れる電子・光物性を利用したメタマテリアルを研究し、高効率エネルギーデバイスへ応用開発します。エネルギー工学専攻エネルギー工学コース

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